In vitro およびin vivo における細胞骨格結合ポリソームによるタンパク質合成の活性化
細胞骨格にポリソームが会合することによりタンパク質合成が活性化する場合と逆の場合があるといわれていますが、ここでは細胞骨格にポリソームが会合することによりタンパク質合成が活性が高くなる結果を示しています。以下に示す結果及び他の研究者による研究から、これまで積極的な関与が否定されていた細胞骨格のタンパク質合成への役割が明らかになってきています。ここでは、細胞骨格との会合によりトランスレーションが一般的に活性化されることを示しますが、ケースによってはポリソームが細胞骨格上で一時待機するダウンレギュレーションもあります。
いくつかの重要な翻訳因子が細胞骨格結合であることが明らかになっています(A Look beyond Transcription: pp118-p119あたりを読んでみて下さい).
A 種々の細胞骨格画分より単離精製したあるいは細胞骨格に結合したままのポリソームによるin
vitro におけるタンパク質合成。
CSK: CSBにより分離した4000xgペレット(細胞質ポリソームの70%と主要な細胞骨格断片が結合したものを含む)ー不溶性ーきわめて早い合成速度を持つ。
上記のCSK画分より脱離精製したポリソーム(細胞骨格要素を取り除いたもの)−可溶性
CBP:細胞骨格に結合していたもの。
CMBP:細胞骨格と膜の両方に結合していたもの。
FP+MBP:遊離および膜のみに結合していたもの。
TBP:残さに含まれる強固に結合した不溶性ポリソーム
小麦胚芽抽出物によるin vitroタンパク質合成をラベルの取り込み量により測定した。
B In vivo ラベルによる in vivo でのタンパク質合成
CMBP: 細胞骨格ー膜結合ポリソーム
CBP: 細胞骨格結合ポリソーム
FP:遊離ポリソーム
MBP: 膜結合ポリソーム
リボソーム上の合成途上のペプチドにラベルが入る速さを測定した (Davies,Abe、Ramaiah 1987)。はやかに飽和点に達するほど合成活性が高い。
(A Look beyond Transcription (1998)より)
遺伝子の構造と機能(学会出版センター、 1998)