スイス政府、モンサント社の遺伝子組換えトウモロコシを認める
2000年7月27日2:13
By 佐羽尾 友里
ベルン、7月27日(ロイター通信)―――スイス政府は木曜日、遺伝子組換えトウモロコシを家畜飼料へ使用することを承認するよう決定したと伝えた。これはスイス市場における4つ目の承認事項となる。
保険省及び農務省は共同声明を発表し、ファルマシア社に属するモンサント社の事業部が開発したMon810というトウモロコシを、人間の健康に害がないとして商業用に認可することを伝えた。
Mon810はMaisgardの名前で販売され、既に米国、カナダ、日本、EU諸国で承認されている。
Mon810はEuropean corn borer(主要害虫)に抵抗性を持つバクテリアと組換えが行われている。この害虫はトウモロコシ栽培に被害を与える主な病気の一つである。
いくつかの食品では、スイス内でも既に1%以下という微量ではあるがMon810が見つかっており、その新種のトウモロコシで育てられた動物の肉を輸入することも9月1日から認められる予定である。
しかし、スイスの農家がMon810を生育することは認められない。
Mon810やその他の遺伝子組換え物質を含む製品は、はっきりと表示をしなければならないことになっている。
スイス政府はこれまでのところ、モンサント社のラウンドアップレディ大豆とノバルティス社のBt176Maximizer、BT11コーンの使用を承認している。
食料品への使用が認められているものには、Rhone-Poulenc Rorer社のビタミンB12、オランダのGist-Brocadesとクリスチャンハンセン社のLab-enzymesもある。
アベンティス社はT25リバティリンクのトウモロコシの承認を求めてきており、Roche Holding AGはビタミンB2の調査報告書を継続審査中で、モンサントはGT73ラウンドアップレディナタネの承認を申請した。
ドイツのRoehn GmbHも食品添加物4種について商業用への認可を求めた。
グリーンピースの抗議
環境保護団体はこの決定に怒りを示している。
スイスのグリーンピースは、この決定について、「遺伝子産業に恩恵を与えるもの」で、スイスの消費者を「モルモット」にするものであると伝えた。 ーところで、限界に達しつつある従来技術で、新技術を拒否して今後の食糧をまかなっていく実験をするとともになにがどうなってるかわからない伝統育種品を相変わらず安全とだまして、大衆をモルモットにし食経験という無認可大規模大衆実験を行い、”神”の思想の”実証”にしようとする行為はなぜ糾弾されないのだ。
スイス世界自然保護基金はこの裁定を「遺伝子技術のない生命体はないことを示すための政治的決定」だと言っている。
遺伝子技術に反対するThe Basler Appeal は「大多数のスイス国民が遺伝子操作食物を望んでいないことを、食料品の安全をコントロールする最も権威ある当局は無視している。」と言っている。