研究室ニュースにもどる 去年の動き
- NASAグラントの重力屈性研究の核心部分への本格的協力のためのトウモロコシを用いた重力屈性の実験を開始

医学部との共同研究においてヒトDNAのゲノムライブラリーを本研究室で作製しました。これは、当該遺伝子部位において、ヒトゲノムプロジェクトによるデータベースや市販のライブラリーが不完全であったため行ったもので約370万pfuのライブラリーを得てこれを用いてPCRなどによりクローニング作業を進めています。
- 細胞骨格にリボソームが会合することによるin vitro とin vivoにおけるタンパク質合成の活性化に関する我々のデーターを掲載しました。また、このことをサポートする他の研究者の論文も参照して下さい(下記)。とくに、膜結合と遊離ポリソームのみが重要だとお考えの方や細胞骨格のトランスレーションにおける役割を疑問視あるいは否定されている方はぜひ一見されることを希望します。
- トウモロコシの試料調製の季節がやってきました。今週から電子顕微鏡用試料固定と分画用凍結試料の収穫を週一回で3週間行う予定で、これで1年間の実験をまかなう試料を作成します(といっても1回当たりトウモロコシの穂1−2本分ぐらいですが)。8月から9月には別の作物のサンプリングが予定されています。
- 米国植物生理学会のサマリーが公開されています。本研究室からの発表のポスターを作り終え共同発表者に送付しました。この発表のための抗体調製がぎりぎり間に合い、エンドウNTPaseホモローグの細胞内局在にかんする重要な知見がえられ、今後の研究の進展にとって重要な局面を迎えています。また、今年も多くの細胞骨格やシグナル関連の発表があります。
- 組み換え遺伝子を中心とした、作物育種ー新品種育成の研究を開始。また農業試験場との研究会を毎月交互に開催し2回目が終わりました。3回目が7月に予定されています。
- 農芸化学会薮田セミナー講演要旨集を公開しています。
- Plant Physiology 116 (4)に我々の研究の方向性をサポートする重要な論文が他の研究者により発表されました。我々の開発したCSB法を巧みに用い、傷害を受けたジャガイモ塊茎の細胞が傷害にはやかに応答して細胞骨格を急速に構築する過程を見事に示しています。
- 現在、当研究室において植物の貯蔵タンパク質形成に関する細胞骨格およびそこに結合するポリソームの役割について総説を共同研究者とともに執筆しています。
- 植物のシグナルトランスダクションのサイトへのリンクとPlant
Signal Transduction bulletinへのリンクをしました。 このページの目次はここをクリックして下さい。 CDPK
はじめいくつかの植物のシグナルトランスダクションについて最新のセミナーのサマリーが載っています。
- 植物で明らかになった遺伝子の医学への応用で医学部と行っている共同研究に関して研究生ないし大学院希望者を募りますーー>研究生・大学院に関する情報。
- 実験法のページを更新しました
- Dr. Eric Davies と Dr. Bratislav Stankovic 及びDr. Brian Larkins のホームページへリンクをしました.ーー>植物生理学部門 Dr. Eric Davies labのホームページには、エコーリンを組み込んだトマトにおける活動電位による細胞内カルシウム濃度の過渡的上昇とそれに伴うde
novoでの遺伝子発現のようすをとらえた蛍光像やトウモロコシのタンパク質顆粒と細胞骨格結合ポリソームの結合を示す電子顕微鏡写真があります。後者は当研究室で得られたものです。このように、本研究グループの手により、植物生理学上極めて重要な最先端の事実が次第に明らかになってきています。
- 生物物理学部門の英語版ができました。今後、URLの英語版を順次作製していきます。
- 高速LAN上にある分子細胞生物学研究室サーバー(Windows NT‐WS)が順調に動いています。転送速度が100MB/secときわめて早い特徴があります。10MB程度の画像を数秒で転送できます。今後、本研究室のサイトはここに集約します。
- 米国のNorth Carolina State University と Univ. Arizona in Tucson の共同研究者のホームページへのリンクを植物生理学部門ページに開設しました ->
- 共同研究者の一人で、トウモロコシのタンパク質顆粒の生成の研究で知られるB.A.Larkinsが米国植物生理学会会長候補(President-elect)となっています。
- 4月より愛媛大学教育学部の長野隆男 助教授がVisiting Member(電子顕微鏡を用いた共同研究)として、細胞生物学部門に、また大学院修士課程新入生の黒田智君が分子生物学部門に参加します。
- 遺伝子の構造と機能 駒野/徹【編】
学会出版センター
ISBN:4762218715 (¥6990)が出版されました。 本研究室のこれまでの研究の解説を中心にまとめた、”植物における細胞骨格の構造と遺伝子発現およびシグナルトランスダクション”に関する章を含む遺伝子の構造と機能、駒野徹編、が学会出版センターより出版されました。本章の中で遺伝子発現の場の構造について
の植物細胞の特質を考慮した新しい考え方を示しています。
- "The role of the
cytoskeleton in plant protein synthesis." Davies E., Abe S., Larkins
B.A., Clore A. M., Quatrano R.S.,Weidner S. A Look Beyond
Transcription: Mechanisms Determining mRNA Stability and Translation in Plants (Balley-Serres
J., Galie D.R., eds) (1998) $25 ($22 for more than one book shipped to the same
address.) 30043 が
American Society of Plant Physiologists (1998)
よりようやく出版されました。この章には、細胞骨格に結合したリボソームのin vivoでのタンパク質合成速度の制御や、タンパク質顆粒の生成や貯蔵タンパク質の部位特異的発現への細胞骨格の役割のレーザー顕微鏡による可視化、接合子(卵)の発生の形態形成におけるmRNAの初期分布の極性に果たす細胞骨格の役割などいくつかの最新のオリジナルデータが掲載されており、mRNA・ポリソーム輸送タンパク質や新しい細胞骨格繊維系の存在など我々の10年以上にも及ぶ仮説の証明を含み、今後の植物の分子細胞生物学における新時代の到来を示唆しています。
- 多岐にわたる研究室の仕事内容をわかりやすく整理し、分子生物学、細胞生物学、生化学、生物物理学、植物生理学、バイオテクノロジー、医学応用の分野に分けてホームページを開設しました。
- 石崎汽船が門司港から松山観光港まで高速艇を3月20日より運行(松山までわずか2時間30分)
- 我々の電子顕微鏡で得られたデータを見て、米国の一流の共同研究者らはこの顕微鏡のことをのことを”State-of-art
microscope”と賞賛しており、比類のない画像を提供しています。このState-of-artを訳すとすれば、”芸術的といえるほど通常の性能を逸脱した高性能”ということでしょうかーーこれらの写真は極めてホットな研究の最前線なのでまた公開できないのが残念ですが。
- 本研究室の研究成果が大きく貢献してえられた米国航空宇宙局(NASA)のグラントである”植物における重力屈性の機構”にかんする総額500万ドルにのぼる5年間の大型プロジェクトが動き出して1年を経過しました。 本研究室においては本年もこのプロジェクトに積極的に協力していきます。このプロジェクトにおける日本側の事実上の措置が300kVの最先端電子顕微鏡といえるでしょう。これと維持費と当研究室の経費(人件費も含む)とNASAグラントををあわせると総額800万ドルの大型プロジェクトということになります。
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