CM−コンプレックス
本研究室において伊東庸子ら(1)によって発見された、膜成分、細胞骨格、及びポリソームを中心とした重い密度(比重1.28前後)を持ったミクロソーム画分である。新しいオルガネラと考えることもできる。中性界面活性剤の添加により膜脂質を溶解すると、さらに重い密度の細胞骨格結合ポリソームとして比重1.42以上となって80%しょ糖密度勾を通り抜けて遠心管の底に沈む。中性界面活性剤と高塩濃度の組み合わせあるいはデオキシコール酸のような強力なイオン性界面活性剤によりCM−コンプレックスを構成している、3つの成分が分離する。従来のいわゆる膜結合ポリソーム画分(MBP)の主成分はこのCM−コンプレックスである(2、3、4)。最近、このCMーコンプレックスに対応するとみられる細胞骨格−膜−ポリソームのin situでの存在が電子顕微鏡により観察された。この会合には新しい繊維系, SMF(Sub-Microfilament)などが関与している。この研究は国際的に関心をもたれている。
1. Ito Y, Abe S, E Davies.
2. Abe S, Ito Y, Davies E.
3. Davies E, Abe S.
4. Davies E, Fillingham BD, Abe S.
5. E. Davies, S. Abe, B.A.
Larkins, A.M. Clore, R.S. Quatano and S. Weidner. 1997. The role
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Transcription: Mechanisms determining mRNA Stability and
Translation in Plants. J. Bailey-Serres, D.R. Gallie, eds. ASPP
pp. 115-124.
5. 阿部 俊之助 "植物における遺伝子発現とシグナルトランスダクションにおける細胞骨格の役割" 遺伝子の構造と機能 6章4節、 駒野 徹偏 (1998)