化学物質の役割

水道の塩素

   水道水やプールの水の塩素殺菌は極めて有効で人体への影響は少ないものですが、10年近くまえに一時期、有機物と化合してトリハロメタンという塩素化合物が生成しその発ガン性が問題になり、特にヨーロッパの環境グループの扇動で水道水の塩素滅菌を止めさせようとし、日本でもマスコミはじめ世間ではおおいに話題になったわけです。 しかし、ただトリハロメタンというたまたま高感度に分析できた物質の極端な条件での作用をベースにしたもので、塩素滅菌のもつもっとグローバル(全体的な)な役割や効能を無視した単面的なものの見方であることに多くの人が気づいたのはつい最近のことです。

   ヨーロッパでは、自然の水(河川水や雪解け水など)をろくに塩素滅菌もせずにプールにもちいて、自由生活アメーバであるネグレリア・ファーレリの脳内感染による、本来なら起こりえないような集団感染がおこり30人以上の若者が命をおとしている。 また、自然の湖などで遊泳するとやはりその危険は大きいが、充分に塩素滅菌された水をもちいるプールではまず考えられない。 また、水道水の滅菌不十分による感染症はほかにも多く報告されている。 その一方でガンの主原因はタバコや食生活、ストレスがあがっており、トリハロメタンが特定の原因とは言い難い。従って、塩素滅菌をしないことによる感染症のリスクはその行為のリスクより大きくかつ範囲が広い。

  自然の井戸も同様である。 塩素滅菌しないで飲用に適する水をえるのは以外に難しく、公共の水道の塩素を嫌うために自分で井戸を掘って利用するにはそれなりに危険性が大きい。 季節的な変動もあるし、地下はどこでどうつながっているかわからず意外なところから汚染水が流れ込むこともあるし、菌類以外にマンガンイオンなどの自然の有害物が含まれこれによる障害をおこすことがある。 はたして井戸の使用者はガンが少なく病気も少ないといえるだろうか。

 無論、乱用は慎むべきで、適切にコントロールされなければならないが、単面的な問題でヒステリックに全否定をするととんでもないしっぺ返しをこうむるというのがヨーロッパでのネグレリア・フォーレリによる集団感染事故であろう。 特に最近は議論抜きに全面禁止を持ち出す傾向が強く、やはりその化学物質の使用により解決しようとした問題はなにかを見据えたうえで、それを使わない問題点を充分に考えて議論すべきであろう。 また、害作用の問題は使うか使わないかの両極端論ではなく、使い方や量の問題の議論も可能なはずで全否定的に禁止、禁止と大合唱するのは好ましくありません。

   塩素滅菌は数ある滅菌法のなかでも、効果が高くたとえば塩素滅菌された水道水には大腸菌群検査をすると生菌数がほぼゼロ(筆者のテストでは本当にゼロであった)でその水を滅菌したビンに満たし密栓して室温暗所に3日間貯蔵しても大腸菌群数は顕著に増加しない(筆者のケースではゼロのまま)というものである。 ちなみに塩素滅菌されていないパック入り銘柄水を同様に検査すると、初めから、ミリリットルあたり数十個、4日保存で数百個以上と目も当てられない惨状である。 また、塩素を除く浄水器をもちいると水の保存性が冷蔵庫中でも著しく低下し細菌が増殖するし、浄水器自体、夥しい細菌の巣となりかえって水を汚染することが多い。

  そういえば皆さん最近、水道水の塩素によるトリハロメタンのこと言わなくなったとおもいません? はたしてなくなったのでしょうか。  

 

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