1.天然痘の病原体である天然痘ウイルス(samll-pox virus、ポックスウイルス)のRINGとMKRNの系統相関図-ウイルスによる生命情報の漏えい

天然痘(痘瘡)は、天然痘ウイルスにより起こる病気でWHOによるとすでに撲滅された病気とされている。 しかしながらヒト以外の動物にも存在し、それらのウイルスの作るタンパク質の末端に亜鉛を含むRINGというモチーフがある。この系統をモチーフの並び方を含め注意深く分析すると、MKRN1という遺伝子のRINGに由来することがわかる。 また、このRINGはウイルスの病原性に必要である。

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2.天然痘ウイルスとMKRN1とのドメイン構造の比較   Variola D4R, human pox; Fowl pox, chicken pox

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この図に示したように、ヒト(Variola)およびニワトリ(Fowlpox)の痘瘡ウイルスのタンパクのC末端にMKRN1に由来する亜鉛フィンガー、C2H2CH(Cys-His)やC3HC4およびC3Hが存在することから、この部分のMKRNからの系統進化がうかがえる。  ワクチン用株には、このMKRN部分が欠失していることが多く、病原性発現に必須である機能の一翼を担っている。 この機能としては、アポトーシスの制御が考えられている。 図ー1においては、広範囲の生物のMKRNと動物の痘瘡ウイルスの系統を示した。 この結果は、古い時代に、動物の体内で、イントロンのあるMKRN遺伝子から正常に転写されたMKRNのmRNAが逆転写されてDNAとなり、それが天然痘ウイルスの祖先に取り込まれ、極めて強力な天然痘ウイルスが生まれたと考えれます。このMKRN部分の機能として考えられているのは、細胞がウイルスに感染した初期にその感染細胞が”自殺”することによってウイルスのそれ以上の増殖を拒むアポトーシスという機能を強く阻害し、感染細胞を生かせてしまいその間にウイルスの爆発的な増殖を許してしまうことである。  

注:KilA-NはバクテリオファージのKilAタンパクと相同な部分である。

注2:Cはアミノ酸の”Cystein(システイン)"; H、Histidine(ヒスチヂン)で、例えばC3HとはCystein (Cys) 3個とHistidine (His)1個が亜鉛と結合するモチーフで、それぞれの間に数個ー10個程度の他のアミノ酸(X)が配置する:Cys-X6-Cys-X5-Cys-X3-His。 C3HC4あるいはC2H2CHは亜鉛2原子と結合する:C3HC4, Cys-X2-Cys-X20-Cys-X-His-X2-Cys-X2-Cys-X16-Cys-X2-Cys。 C2H2CHは”Cys-His"とも呼ばれ、Makorinに特有の亜鉛結合モチーフである。

Robert D. Nicholis and Todd A. Gray (2004).  Cellular Source of the Poxviral N1R/p28 Gene Family.. Virus Genes 29:3: 359-364, 2004

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  1. Makorin遺伝子なんでも帳
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