しょ糖密度勾配の作り方 How to make sucrose density gradients.


  しょ糖密度勾配遠心法は、ポリソームやリボソームのサブユニット、種々のオルガネラ、ゲノムDNA断片やcDNAのサイズ分画によく使われますが、グラジエントを作製するのが意外と面倒でしかも何本かをまとめて作っても均一なものは得にくい欠点があります。そこで、われわれは作りたい密度勾配の底とトップにあたる2種類のしょ糖溶液を単に重層し横に寝かせるだけで均一なリニアグラジエントを作製する方法を用いています。

Protocol 

1. 濃い(重い)しょ糖溶液を遠心チューブにとりこの上から軽いしょ糖溶液を静かに重層し、きれいな界面を作りチューブラック上に立てます。 この時点で斜めにしたり界面を決して乱さないことが重要です 

2.  必要本数のチューブに1を作製したのちこれら遠心チューブにシリコンゴム栓をはめたのちラックごと静かに横に倒します(室温)。

3. 1−3時間そのままにしておきます。

4. 時間がたったらゆっくりチューブラックをおこしチューブをたてにします。これでリニアグラジエントが何本もできました。同時に作ったものの均一性はかなりあります。

 

*この方法はもともと、20年以上も前からEric Davies研で使われていたもので彼の学生であったBrian Larkinsによりその有効性が確かめられています。のちに私とEric Daviesがこの方法で作ったグラジエントの定量的評価を行い、本法により調製したグラジエントを用いた分析は極めて定量性が高いことを証明しています。 唯一の欠点はあまりにも簡単でばかげている(不正確に見える)ので、ほとんど使われていませんが グラジエントフォーマーが要らずしかも非常に簡単で確実な結果が得られますので一度、試してみて下さい。

*Abe, S. and E. Davies. Quantitative analysis of polysomes using a baseline from uncentrifuged blank gradients. Memoirs of the College of Agriculture, Ehime University 31: 187-199 (1986)

ところで本法においては実は合理的な原理により、グラジエントが自然に生成します。細い縦長のチューブの中にできた密度の異なる液による界面をの面積対奥行きを、チューブを横にすることにより大きくし拡散距離を小さくします。この状態でしばらくおくと上下の密度の違う液が互いに物理化学的に拡散し濃度の遷移がシグモイドをへて直線に近くなります。これは中間付近が熱運動により混じる確立が高いことによります。しかもしょ糖は粘性が高いのでゆっくりこの現象が起こることになります。従って、拡散混合がチューブ上端と下端に及ぶまえにたてにすればちょうどいい具合にグラジエントができていることになります。このあと、立てたまま冷蔵しておけば、しょ糖の粘性と拡散面積が縦長となり小さくなっていることなどのため1−2日貯蔵することができます。

 

 

次に、このような方法で作製したグラジエントを用いてDNAとリボソームの分画を試みた例を以下に示します。

Examples

A 高分子量ゲノムDNAの断片の分画の例
エンドウゲノムのDNA断片の分画を行いその様子をアガロースゲル電気泳動とエチジウムプロマイドによる染色によりしらべたものです。

Fractionation of EcoR1 digest of pea genomic DNA using 20-40%sucrose density gradient. The fractionated DNA fragments were analyzed by an agarose gel electrophoresis and stained with Ethidium bromide.

 

 

 

B 真核リボソームとポリソームのサイズ分布の分析
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エンドウの細胞質ポリソームの画分をしょ糖密度勾配遠心により分析したものです Polsome profile of pea stem tissue using a 15 to 60% sucrose gradient spun at 300,000xg for 45 minuts. Polysomes with various size classes after the centrifugation were analyzed using an gradient fractionator at 260 nm.

真核細胞の細胞質リボソームの30Sと40Sサブユニットおよびこれらが一つづつ結合した80Sモノソームが明りょうに分離しています。 2から以降は(図の右のほうへ行くにしたがって密度勾配の底のほうになります)一本のmRNAに複数の80Sモノソームが結合し翻訳を(タンパク質合成を)行っているポリソームのピークを示します。2から10<の数字はいくつのモノソームが一本のmRNAについたものかを表します。  詳しくは画面をクリックして下さい.--> ポリソームの分離と分析法

 

 

 


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