アミノ酸代謝におけるビオチン化酵素(MCCC、PCC)の役割-炭酸同化酵素

  ビオチン(ビタミンH)が結合して働く分枝アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシン)代謝酵素の役割:3-メチルクロトニルコエンザイムA炭酸化酵素、MCCC;プロピオニルコエンザイムA炭酸化酵素、PCC)

これらの酵素はビタミンHとも呼ばれるビオチンが共有結合したサブユニットとビオチン(ビタミンH)が結合しないサブユニットから構成される。このようなビオチン化酵素はほかにピルビン酸炭酸化酵素(Pyruvate Carboxylase、PC)とアセチルCoA炭酸化酵素Acetyl-CoA carboxylase, ACC1 or ACAC1、ACC2 or ACAC2)があるが、MCCCやPCCとはことなり、非ビオチンサブユニットをもたない。 ACC1を除いて、いずれも、ミトコンドリアの酵素である。

  PCCとMCCCの機能の分化は魚類の進化に始まったようで、脊椎動物では、MCCCとPCCは74−76kDaの極めて近い分子量のビオチン化サブユニットをもち、非ビオチン化サブユニットも50-55kDaと極めて似通っており、魚類進化時に重複して生成したと思われる。この分化と機能の強化により、脊椎動物が高いアミノ酸代謝力とリサイクル力を持つ一翼をになっている(Abe et al., 2005, Marine Biotechnology 6(6): 527-540)。 PCとMCCCは植物などにも広く存在する。

  ここでなぜ”リサイクル酵素”かというと、これらのアミノ酸は他の生物により糖の代謝経路から出来た有機酸を原料にして作られあるいは蓄積されたものを摂取し(必須アミノ酸)、それが我々のタンパク質に取り込まれ、体の構造をつくるが、飢餓や生理的変化により糖がエネルギー源として使われ不足してしまうと、今度はタンパク質を分解してその成分のアミノ酸をより優先度の高い生存のためのエネルギー源として再利用したり、アセチルコエンザイムAのような脂肪酸や他の化合物の中間化合物を合成するためのキー酵素(有機酸と炭酸ガスのリサイクル)であることからきている。また、ヒトや動物の皮膚や爪、魚類のウロコなどの健康を保つのに必須である。

  これらの酵素に結合し使われるビタミンH (ビオチン)は、ヒトでは必須のビタミンで納豆などに多く含まれるものであり、皮膚の健康に重要であることは、ここに挙げたようなビオチン化酵素の機能と深い関係があると考えれている。 また、ロイシン、イソロイシン、およびバリンはヒトでは必須アミノ酸である。 また、MCCCはMCCともいう。 ただし、PCCとよく似た名前のPCは”Pyruvate Carboxylase"というコエンザイムAには関係のない別のビオチン化酵素であるので、間違わないように。 その他のビオチン化酵素(PC,ACC) 種々の生物におけるビオチン化タンパク質の分子量分布

ビオチン化酵素、MCCCとPCC(赤字)が関与するアミノ酸/有機酸代謝経路

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遺伝子バンク(米国)情報 NM_020166 (MCCC1:ビオチンを含む酵素活性ユニット、alpha)  NM_022132(MCCC2:補助ユニット, beta)mcc-a/MCC-A_Information.htm mcc-a/f1440_MCC-A.htm
http://molcellbiology.jp/library/meetings/jsmb/default.htm 

文献:
ヒトMCCC:Obata,K., Fukuda,T., Morishita,R., Abe,S., Asakawa,S., Yamaguchi,S., Yoshino,M., Ihara,K., Murayama,K., Shigemoto,K., Shimizu,N. and Kondo,I. Human Biotin-Containing Subunit of 3-Methylcrotonyl-CoA Carboxylase Gene (MCCA): cDNA Sequence, Genomic Organization, Localization to Chromosomal Band 3q27, and Expression Genomics 72, 145-152 (2001)

魚類MCCC, PCC, PC:Shunnosuke Abe, Chhoun Chamnan, Kenichi Miyamoto, Yasutaka Minamino, and Makoto Nouda (2004). .Isolation and identification of 3-methylcrotonyl CoA carboxylase cDNAs and pyruvate carboxylase, and their expression in red seabream, Pagrus major organs.  Marine Biotechnology 6(6): 527-540.

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