沿岸海洋生物の飼育と写真集

沿岸海洋生物の飼育のすすめ

  多くの人はどうして身近な環境にいる海の生物を飼わないで、高価な市販の海水魚を飼うのでしょうか。きっとありふれたものは馬鹿らしいと思っているのかもしれません。また、海や磯の生物は飼育が難しいと思われていますが、いくつかの生物は家庭の設備でしかも海水をあまり交換しなくても何年も飼育でき、魚類などは普通に手に入る食品で簡単に餌付けができるものがあります。 瀬戸内海周辺で採集できるごく普通の生物は意外と飼育の対象にされていませんが、これらの生物は、熱帯魚のような現実ばなれしたものとはまた違った楽しみがあり、何といっても自分で採集したものを飼育するというのはたくさんのお金を出して買った熱帯魚などでは味わえない親しみがあります。たとえば、死んでしまったときでも高価な魚のときはどうしても、愛着とともに何万円(何十万円?)損したという邪悪な感情が出てしまいがちです。それにくらべ、海水浴や磯遊びやつりをした記念にもって帰った生き物は金銭感覚よりも楽しんだ後の記念としての愛着もあり何年も生きて、みるたびにおもいでが湧きあがってくるということもあります。、子供の情操教育にも大変貢献できます。  

   イソギンチャクとケヤリムシ
3色のケヤリムシ(ゴカイの仲間)とミドリソギンチャクの触手の色の対比がきれいですね。 右上の端のほうにイボニシが見えます。  いずれも、磯でよく見かける下等動物です。  不思議なことに、この水槽で飼うような磯の魚たちは、このミドリイソギンチャクの触手に触れても食べられません。 イソギンチャクとの共生は、なにもカクレクマノミだけではないようです。  面白いことに、魚が弱ると食べられてしまいますので、魚の外側の粘膜が、大事なのでしょう。
  ですので、下の写真のようにたくさん魚がいても、食べられるようなとんまな魚は皆無なので、イソギンチャクには餌は別に与えないといけません。 アサリをこじてあけて身をやります。

   

また、最近環境問題がクローズアップされて人々は口をそろえて環境保全といいますが、一方でその保全すべき身近な環境にいる生物たちを意外と知らないのではないでしょうか。特に海洋を含めて水中にいる生物に思いをはせることは海洋民族あるいは島国を自称する日本人にとって、なぜか意外と難しいようです。遠洋や南洋の生物はよくテレビに映るのでまた美しいのでつい比較してしまい、観賞価値が低いと思ってしまうのでしょうか。これでは、みにくいものや役に立たないものは死に絶えても知らないということではないでしょうか。これでは、環境保全は口先だけの利益主義にすぎません。ここでは、あえてそれらの”美しくない生物たち”を家庭で飼育し理解を深め、真の環境とはどういうものかを問い掛けてみることにします。

  飼育のコツはどうやら温度管理(20度程度)と強い照明の採用にあるようです。家庭用の蛍光灯の明るいものや太陽光に近いものなどを用います。本数は多いほどよろしい。コケはあまり取る必要はありません。強い光のもとで酸素を出して成長し海水をアルカリ性に保つとともに水を浄化します。

海水は人工のものでよい結果がえられます。 ー>人工海水の作り方

下の写真  左: フグ   右: メバルの群泳、左下にアイナメとイトマキヒトデ、右下にムラサキウニが見える。

水槽の奥に潜むアイナメ

 

採集場所:海水浴場や隣接した磯などあるいはつり。 

松山の周辺ではたとえば梅津寺の海水浴場とその周辺が格好の場です。特に、梅津寺の海水浴場の北側や周辺ではフグなどの稚魚や ハゼ類あるいはホゴなどが多く海もそう汚れていません。みかけが”汚い”のは砂がぬれると黒っぽくみえることと細かく遠浅なので砂の巻き上げてにごっているのとアオサの集団が流れてくるからです。しかしこれらは生物の住家やえさとなるものです。 駅に近いので採集した生物をもってかえるのにも好都合です。自動車などでの輸送は振動に気を付けないと意外に弱ってしまいます。

   980818  98年8月12-18日の間に、梅津寺海水浴場の波打ち際(水深30cm未満)で採集された稚魚は、ボラ(3−5cm)、クサフグ(1−2cm)、クロダイ(3cm)、ヨウジウオ(10cm)、カゴカキダイ(1−1.5cm)でした。ほかにイソスジエビの成体も見られました。

   980823  98年8月23日前記場所で イシモチ?(1-1.5cm。まさかー同定中)、ナベカ(1.5cm)、ハオコゼ(0.5−1.5cm)、カゴカキダイ(1−2cm)、ボラ(5−7cm)、クサフグ(1.5cm)の稚魚のほか、ガザミ(食用のカニの一種、オールのような足があり泳ぐカニ)の幼体1−4cmが採集されました。イソスジエビの成体も多く見られました。

ヨウジウオ

981012  今年8月23日に採集した稚魚が2−3倍ほどに成長し再鑑定を行った結果、イシモチの一種と見られた魚はコスジイシモチ、カゴカキダイと思われたものは、コトヒキということになりました。 

990723  梅津寺海水浴場で1−2cmのボラ、クサフグやハゼの稚魚が多数採集できました。

990829  今年はついに梅津寺ではコトヒキやコスジイシモチのような暖海性の魚の稚魚はまったく見られませんでした。 クサフグ、メゴチ? ハギ、ガザミなど

以下、現在入力継続中

採集用具

もって帰るのに30分以上かかる場合はエアーポンプが必要です。 

設備:普通の水槽(60cm以上)、底面ろ過器、エアーポンプ、強力な蛍光燈(NAランプ)、生物によっては冷却器やヒーター。 

筆者の経験では底面ろ過器が十分使えます。メバルなどを飼うときは小さな循環ポンプがあったほうがよいようです。 注意点:海水の交換は2−4週間に一回半量交換をしますが、魚種と状態によっては2年以上も交換が必要でない場合があります(例クサフグ、カサゴ、クロダイなど)。 ウニなどの無脊椎動物の場合および基本的には海水の交換は必要です。

材料

海水、または人工海水 自分で調合する場合は次に作り方を示します。この人工海水でも長期にわたって飼育できます。

えさ、

あさり、ゴカイなどのほか餌付けをすると卵焼き、チーズ、チクワ、カマボコ、チリメン、ゆで卵(白み、黄み)、肉、トーフなど多くのタンパク性食品がたいていの魚のえさになります。市販のフレークのえさは水を汚すことが多いので注意が必要です。キュウセンやアイナメなどはえさを落とすとき仕込むと簡単な芸をすることがあります。えさをやりすぎないようにすることが大事です。数日に一回ぐらいでもよい。

  ボラの稚魚(1cmぐらい)などは、冷凍の新鮮なオキアミの真空バック冷凍品を解凍しはさみで細かく刻んで与えるのもよろしいでしょう。

 

    魚類

クロダイ  何でもたべ、また成長のはやい魚です。自分に一定距離以上近づく魚をおいまわします。 その割には用心深い魚で人影がすこしでもみえると逃げます(目がいい?)。カサゴと一緒に飼うとカサゴがえさを取っている間は出てきません(苦手のようですーー顔がきらい?そういえばカサゴの顔は人面にみえる(下の写真)?)。コトヒキとはよく追いかけごっこをします。 ゆで卵やチーズ、カマボコ、冷凍えび、ゴカイなど。 

  注:コトヒキとの追いかけっこはどうやら本気のようでした。去年の5mmぐらいの稚魚が1年で7cmぐらいになりましたがクロダイにかじられ死んでしまいました。 隠れる場所をちゃんと作っておかないとだめだったようです。

 メバル

集団性の強い魚で何匹も同時に飼うことができますが、大きさをそろえないと小さいメバルはえさが取らせてもらえません。

ホゴ(カサゴ)、  エビが大好物。 冷凍えびやゴカイを与えます。カサゴ(ホゴ)  hogo2.jpg (20968 バイト)

コトヒキ、コスジイシモチ  

案外飼いやすい魚ですがコトヒキはどうもうで自分の仲間やコスジイシモチを追いまわして噛み付いたりします。 たいていのものを食べるようです。 コスジイチモチはいっしょに飼っているクロダイのそばでうろろしていますが、食いつかれそうになるとさっと逃げたりタイのそばにいったりしてうまく攻撃をかわしています。 結局、クロダイの食いちぎったえさの残りを頂戴しています。 。自然でもそうしているのなら掃除屋として働くでしょう。 去年5mmくらいだったのが1年で6cmにもなりました

アイナメ

用心深い魚で角に隠れる習性があり群れることはあまりないようで1−2匹ぐらいしか長期には飼えない様です。

ハオコゼ、  意外とえさの難しい魚。エビ(冷凍可やゴカイをやります。ゆで卵やチーズではだめのようです(数週間で死滅する)。

フグ、

目とそのまわりに青、黄色、緑系などの蛍光色のような色合いがあり、意外と美しい魚です。ただし、成魚では歯が強くかまれると怪我をします。

同期生の集団で飼うことを勧めます。7月ごろの稚魚を10−20匹ぐらいとってくると1年ぐらいで適当な数に減ります。しかし、新たに稚魚を入れると全部食べられてしまいます。フグの稚魚には市販のフレークの餌を砕いたものやゆで卵の黄みを少しずつ与えます。成長すると魚の骨や、カニやえびの甲らも食べます。

キュウセン(ギゾ)

一つの水槽に多数入れるとけんかをしておいまわすことがあります。一匹か相性がよい個体同士にかぎられます。 また、先にいる個体が後で入れた個体をおいまわすこともあります。底に砂を敷いて 砂の中で寝れるようにしておきます。水槽に入れるとすぐに砂中にかくれ何日も、ときに一月ぐらいも姿を見せないことがあります。夜中に泳ぎ回っていることもありますがしばらく飼っていると朝になると砂から出てきてえさをとり、夕方にはまた砂に潜るようになります。辛抱強く自発的に出てくるのをまちます。砂をかき回したりほじくったりすると余計に出てこなくなるし砂に潜りっぱなしになってえさが取れず飢え死にしてしまいます。

 

  クロダイの4cmほどの稚魚が1年で17cmのクロダイに成長している。 餌は冷凍生オキアミがよいようだ。 ハオコゼもこれでいける。 イソギンチャクとナマコが6年以上の記録を更新中である(19991119)。

 

 ハゼ、アゴハゼ、シマハゼ、ヘビギンポ、

 

    その他

アメフラシ、ウミウシ、イソギンチャク 

アワビ、サザエ、イボニシ、

ナマコ、ヒトデ、ウニ

イソガニ、ヤドカリ、モクズガニ、カワガニ

 

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