魚類における亜鉛を含むタンパク質、マコーリン2の発生と脊椎動物の進化

  亜鉛を含むタンパク質は多くの真核細胞の中に見出されるがそのなかでもC3Hと呼ばれる亜鉛イオン1個と結合するモチーフが4個と1個のC3HC4および1個のCisHisモチーフ(C2H2CH)と呼ばれる亜鉛イオン2個と結合するモチーフをもつMakorin 2 (MKRN2)という遺伝子が、脊椎動物では最下等に当たる魚類において我々によって1995年に最初に発見された(魚類成長促進物質の開発研究報告書ー愛媛県)。 Makorin(マコーリン)の名称は、”Makor+in =The source of zinc finger"に由来する。 また、Actinのようにタンパク質名は"in"で終わるものが多いためMakorinとしている。Makorはこのマコーリン2は、下等真核生物に広く存在するMKRN1と呼ばれるタンパク質の遺伝子がもととなり、今から4億5千万年前に魚類が進化するときに起こったゲノムの倍数化の過程で生じた新しい遺伝子であることが我々並びに米国のRob Nicholis(Case Western University)らと行った、ヒトや哺乳類で最近見つかったMKRN2遺伝子との比較研究によってあきらかになった。 このMKRN2の魚類での発見のきっかけは、ブリ(ハマチ)の脳下垂体の成長促進遺伝子の探索の研究である(DDBJ/EMBL−D85881およびAB049436)。 さらにこの遺伝子はヒトのガンの抑制に関係しているという可能性が高いということになっている(生物の進化ー亜鉛タンパク質とガン原遺伝子の2人3脚的進化)。  なお、魚類を含む脊椎動物以外では、MKRNはMKRN1とMKRN2に分かれておらず、ただ”MKRN(マコーリン)”と呼ばれることが多い。

追記: MKRN (Makorin: マコーリン)の名称の由来。

Makorin(遺伝子シンボル、MKRN)の語源は大変興味深い。 Makorinは”Makor"+”in"で構成される造語である。Makorとは、古ヘブライ語にちなみ、米国の小説家、James Michener(ミチェナー)1967-の歴史を描いたフィクション、The Sourceに出てくる砂漠の中の町である。この小説の舞台はイスラエルの仮想的町で、この町にはその地域の唯一の井戸があり、それがその砂漠地方の命の源泉でSpringすなわちLife-Factor(命の要素)であるという描写がある。 また、この地方は西洋の宗教の源泉でもある、という古典的歴史観を投影した命名でもある。 発見当時、多数の亜鉛フィンガー(Zinc finger)をもつ特異だが機能が不明であったタンパク質の遺伝子の名前としてふさわしいロマンチックな名称といえよう。命名者のTodd GrayとNicholisによると、Makorinの末尾のタンパク質の名前を表す"in"はZinc Fingerもかけているということだが、私はそれをさらに 2つものRINGをもつことから、それをかけて、The source of RING, すなわちMakorinとするのも意味があると考えられる。 

 

もどる         ヒット カウンタ   050513