遺伝子組換え不使用を採用にかんする考察。

  遺伝子組換え作物は通常育種が持つさまざまな問題点、たとえば交雑育種の原理上避けられない未知で不要な、時に有害な不要遺伝子(SNOWFALL GENE)の導入や、遺伝資源の限界を解決するために開発された方法で、通常育種に勝る多くのメリットを有しています。 さらに、中毒事件などが起こって初めて対応がとられる通常品にくらべ、事前の安全審査を綿密におこなううえ、可能な限りの分析をつくしても通常育種品にふくまれない未知の成分(導入した遺伝子産物は除く)の存在は検出されません。 当然導入した遺伝子産物の安全性は確認されています。 にもかかわらず、このように検出されないものについてなぜ恐れるのでしょうか。

  しかも、遺伝子組換え品に課されているのと同じ評価や検査をすべての食品について行ったらどのくらいの食品が安全審査に合格するでしょうか。 例えば、カップめんなどは亜鉛欠乏を引き起こす可能性があるとして不合格になる可能性があります。 あのダイオキシンですら言い方をかえれば一定量以下であれば含まれていいことになっているのです。 有機農法でよく用いられる”木酢液”にふくまれる各種発ガン物質や安全性未確認の物質群あるいは堆肥などの製造過程でおこることのある”緑濃菌感染”、寄生虫類、さらに不完全な防除による蓄積性猛毒アフラトキシンはじめ安全性未確認のカビ毒類、麦角毒など通常の食品原料群にも多くの問題点があるのです。 これらは、いままでは大衆の目には触れがたかったと思いますが、このような反遺伝子キャンペーンへの反論のかたちで今後次々と明らかになっていくでしょう。

   長期の影響については、ほかのものと同様に扱うべきですでに述べたように未知性は通常育種にくらべ格段に低く”Potential Risk"という言葉はあまりにも無定義すぎます。 分析しても出てこないものの影響をどうやって長期にしらべるのでしょう。 その前に通常育種品やその他の新食品を調べてみたらどうでしょうか。 

 遺伝子の水平移行につてはまったく愚論。3億年に1度起こるかどうかのことを問題にすること自体非現実的。 もし組換えた数個の遺伝子で我々の寿命で起こるなら、魚の好きな人は魚になり、ホーレンソウのすきなひとは緑色になっています。

  このように、これまで科学的な調査で環境と健康に関してなんら問題のないものを、分別しあえて不使用を掲げようとするその意図と効果は何なのでしょうか。このように、これまでの安全審査にくらべれば完璧といえるまでの検査をしたものについて不使用を決定し、さらにその証明のために多額の経費と手間をかけ海外にまで調査をし、もしそれが漏れていたら罰則を受ける危険をおかしてまで不使用表示にこだわる理由はあるのでしょうか。

  食品メーカーにとって風評が大事なのは事実ですが、不使用を証明するためには、科学的に証明不可能な”ないこと”を証明しつづけなければならず、差し迫った危険のないものの検査にそのような手間と経費を払い収益を圧迫することのばからしさを痛感することでしょう。

  とにかく不使用を表示するほうがはるかに手間と経費がかかります。 未知の要素まで保証しようとする制度自体は近代法体系上もきわめて異例であり、それは必ず遺伝子組換えのみならずほかの産物にも波及するでしょう。 したがって、今厚生省がやろうとしていることは日本の食糧の安全に混乱を引き起こす行為としか我々にはみえません。 

むしろ、遺伝子組換え使用と表示したほうが一時は売上が下がるでしょうけれども、とにかく経費がかからないため、ひょっとすると収益はそう変わらないかもしれません。 もし不使用と表示していて、消費者団体やあのグリーンピースの人たちの自主検査で使用している疑いがあるなんてちょっとでも言われたら、みなさんどうするのですか。 商品の回収、担当者の叱責や懲罰、関係筋への賠償支払い、生産ラインの更新、さらに、刑事責任と企業はたいへんな出費や負担を強いられるのです。 こんなばかげたゲームに参加するのを拒否した米国の大手健康食品メーカーであるLUMEN FOODSはえらいとおもいます。 皆さんが恐れているもの、それは風評であり悪質な脅しなのではないでしょうか。こんなばかげたこととにかくやめて、冷静に対処すべきです。

   今後、たいした根拠もなく風評におそれるメーカーが購入しようとする非組換え品についてすでに米国では手間と経費がかかるとして転作にあたってプレミアムを要求し始めており価格の上昇は必至の状態です。さらに中国は今回のエジンバラでの国際会議で、独自の精力的研究で組換え作物の環境ならびに安全に関して完全に問題なしとパツタイらのデータ-を完全に否定しこれらの作付けを今後5年程度で全体の50%にまで拡大すると表明しており、今後国内需要は手間と農薬代のかからない効率的で、安価、安全な組換え作物でまかない、ほしい国には非組換え産物を高値で売却する方向を明確にしました。 このように、先進国の食品会社や消費者が何かに恐れることを担保にとってビジネスにしようという国際的動きが活発化しそうです。 しかしながら、今後このような不合理な状態を放任し助長し続けていけば、環境団体の極論的キャンペーンによる”告発”が頻発し、これらが消費者および企業心理にさらなる動揺を引き起こし、世界の食糧生産および市場は混乱することは必至です。 このようないわば無政府状態では、あらたにどのような風評やでっち上げが横行するか予測できず、世界食糧市場の混乱に拍車をかける懸念が著しく強くなっています。

  だいぶ昔に”大鉄橋” ていう映画ありました。この映画のなか恐れるに足らぬ新病原菌をめぐって、何十人ものコマンドが打ち合い殺し合いそして何百人という列車の乗客を犠牲にした、映画を思い出します。 たしか、助かったのはそんなばかげた行為を阻止しようとした主人公と一部の乗客だけだったようにおもいます。 その病原菌にはふつうのように難なく抗体ができ結局あの殺戮までしたさわぎはなんだったんだという人間の大衆がもつ集団ヒステリーのこわさを描いていました。

  エジンバラでの発表をみてください。 遺伝子組換えが通常品より危険だとかいう科学的データ-は皆無のうえ、逆に反GM派のデータの信憑性が崩壊する危機に直面したのです。 英国EPAがらみの実験データ-ですら、よくみると遺伝子組換え導入のほうが生物多様性をはかれるということを示していたのに人々が誤認して反遺伝子キャンペーンに使ってしまったというおちまでついています。 やればやるほど通常育種のほうの限界と欠点が見えてきます。  あたりまえです。 そんな議論は、バイテクの聡明期であった30年も前にさんざん行われそれらを解決するためうまれたのが遺伝子組換えなのですから。 グリーンピースらがいっている危険性はさきのSNOFALL遺伝子にはじまり、むしろ伝統育種のほうの問題点です。まさにそれの回避が遺伝子組換えの目的だったのです。

 食糧が世界的にあまっており、食糧問題は分配の問題でGMは不要などと言う議論も再び台頭してきていますが、観念的短絡思考過ぎます。 食糧があまっているのは米国やヨーロッパなどでエネルギーや化学薬品など高価な物資を投入する近代農業を行っているところであります。 これら豊かな国では何の問題もない価格の食糧ですが、発展途上国では同じ値段は到底払えません。 したがって、生産資材を削減しかつ増産することは世界の食糧問題の基本なのです。

  このような現状を省みると、今必要なのは、声の大きな宣伝ではなく、地道な一般消費者への感情的でない情報と知識の提供ではないでしょうか。 大衆の判断力の養成は民主主義の原点であります。 現在のような極論主義的キャンペーンの行き着くところはヨーロッパの歴史に最もよく例示されていることは衆知の事実で、すでにGMOのことをフランケンフードとか言っているが、オオカミ男や魔女狩りと同様の状態になるのを恐れなくてはならない段階に達しているようです。 非科学的キャンペーンが科学に対して行われた場合、どういうことになるか実例が日本にもありますので次を参照してください。ー>世界の栄養学史上に残るエピソード

 

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