”自然食品”こそ安全審査が必要ーオオカミ男とライ麦

1951年にヨーロッパのある小さないなか町で200人以上(4人が死亡)にものぼる幻覚症状を訴える患者が集団発生、なかには幻覚により奇怪な動物のような行動をするものも多数表れた事件がありました。しらべると、なんとライ麦パンに含まれていた麦角アルカロイドが原因でした。これは麦角病というライ麦の病気により生成されたものでのちに有名な幻覚麻薬であるLSDのもととなった化合物です。 過去にも何回か大流行しヨーロッパに多くの患者をだしオオカミ男の伝説を生んだとされています。 このライ麦は自然環境に強く収穫が安定しているためヨーロッパで広く栽培されていたのですが、この”自然食品”にひそむ危険な落とし穴に人々が気づくのに300年以上もかかったのです。 このように、一般に食されているから、自然だからと油断してはいけないのです。 人間は自分の食べる食物を昆虫など他の動物のように本能にコードしていません。すなわち、すべての食品生物の安全性を遺伝子組換え食品の安全性の評価のように常に厳しく、継続的に最新の知識をもちいてチェックしていかなくてはならないのです。 人間は常に英知をもって行動しなければならないように運命付けられていることを忘れてはいけません。

  また、ライ麦は栽培に手間がかからないように選抜育種された麦の一種ですが、この例でも明らかなように農業における病虫害の防除は人間の健康に重大な意味をもち必須であり、たんなる自然保護論議はなじまないのです(トウモロコシとカビ毒参照)。以上のように”無農薬”で”自然”は危険極まりないのです。 ”無農薬”自然食品こそ厳格な品質検査があって成り立つものであることを肝に銘じることです。 、

  一方で薬剤は大なり小なり無差別的散布にならざるおえずその弊害も大きいことは皆さんご存知ですが(沈黙の春参照)  このような矛盾を解決するために、作物自体に人間には無害な遺伝子で抵抗性をもたせその作物に侵入したもののみを駆除するという理想的考えの元に生まれたのが病虫害抵抗性遺伝子組換え作物なのです。

  

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ヒット カウンタ2000-02-21   2000.12.31 16:14