遺伝子発現(gene expression)の基礎知識     

 

  遺伝子(gene)はデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid: DNA)から構成され遺伝情報、すなわち細胞の機能を実際に遂行する分子であるタンパク質やRNAをコードします。 このためにはDNAの塩基配列をRNAに写し取る必要があり、この過程が遺伝子発現の第一段階で転写(transcription)とよばれます。つぎに、この転写されたRNAのうちでタンパク質のアミノ酸配列をコードしたものをmRNA(メッセンジャーRNA、messenger RNA)と呼びます。

次に、リボソームとよばれる細胞器官がこのmRNAの塩基配列上に記されたアミノ酸を順番記された順番どうりに結合させてタンパク質の基本単位であるポリペプチド(polypeptide)を合成します。 この段階を翻訳(translation)といいます。 この翻訳過程で合成されたポリペプチドは種々の加工を経た上でタンパク質となりその特有の機能を発揮して背細胞を活動させます. 細胞活動まで含めて遺伝子の作用を認め、広義には遺伝子発現ということもありますが、通常は遺伝子産物が生じること、すなわち転写あるいは翻訳が起こることを遺伝子発現と呼びます。

  ウイルスなどはタンパク質を作るしくみを持たないため、宿主細胞に進入した後宿主のタンパク質合成系を用いて遺伝子発現を行い自己複製します。細胞の遺伝子発現系はDNAをその起原とするためRNAをゲノムとするウイルスの場合は、細胞内に侵入した後に逆転写酵素(reverse transcriptase, RNA dependent DNA polymerase)によりゲノムをDNAに変換したのち宿主の遺伝子発現系を用いて自己複製をします。

  研究法的には、遺伝子発現の確認や定量はmRNAなど、目的のRNAを検出しておこなう方法やタンパク質の検出(電気泳動、呈色反応、発光、抗体染色など)や構造の生成、酵素活性の変動などを用いて行う方法があります。特に、RNAの検出は最初の段階を読み取ることのできるメリットがあります。 タンパク質レベルの遺伝子発現の検出は細胞の代謝などに直接つながる重要性があります。発光タンパクを用いる発光分析、酵素活性を利用する活性染色法、抗体を用いる免疫法などは感度が高く、また発現産物の細胞内の存在位置を知ることのできる重要な方法です。

 

 

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