予防原則に関わる二つの問題点

アリゾナ州立法律学大学教授 ゲーリー・E・マーチャントによる考察

 

環境への取り返しのつかない組み換え生物の導入や、それらの導入を通じて起きるリスクに関する広範な不確実性、人体や環境に対するGM生物の曝露が拡散するリスクなどを含むいくつかの要因が、遺伝子組み換え(GM)食品に対し予防原則を適用することをサポートする。しかしながら同時に、行き過ぎた予防措置は、バイオテクノロジー製品によりもたらされる重要なベネフィットを抑圧し、社会に不必要なコストを課し、リスク−リスク・トレードオフの結果として、おそらく究極的にはリスクを増やしさえするであろう。

 

いづれかの予防原則が正当化されるかもしれないにも拘わらず、GM食品への予防原則(PP)の適用は、少なくとも二つの理由から問題がある。第一に、PPの不確実性は、それを不適当でかつ効果的ではない規定を決断させるツールにする。PPはなにかリスクを決断する場合に直面するどのような疑問に対しても、いかなるガイドラインも提供しえない。例えば、どのようなリスクのレベルなら受け入れられるのか、リスクを決断するにあたりコストはどのような役割を果たすべきか、決定にあたりどれだけの科学的証拠の量があれば充分であるのか、そして潜在的なリスク−リスク・トレードオフがどのように扱われるべきか、などについてPPは曖昧なままである。PPの提唱者たちは、これらの重要な質問に関して意見が一致しないばかりか、PPが適用されるべきは、リスク・アセスメント・プロセスとリスク・マネージメント・プロセスのいずれにか、リスク・アセスメントとリスク・マネージメントの双方にか、もしくは現在のリスク・アセスメントとリスク・マネージメントのパラダイムの代わりにするのかといった諸点に関しても、意見を異にしている。

 

もしもその提唱者たちが、PPの実用的な意味についてさえ合意形成することができないなら、防御できる現実世界におけるリスク決定を行わなければならない政府や産業界のリスク管理者に対して、PPは有意義な決断を行うためのガイドラインを提供することができない。

 

特に米国において規制当局は、彼らの規定する裁量権を限定するため、「分かり易い原則」を守るか明瞭に表現しなければならない。現在の形式では、PPは決断のための分かり易い原則をなんら与えてはくれない。

以下続くー翻訳中ー原文

Professor Gary E. Marchant
Arizona State University College of Law
Tempe, Arizona, U.S.A.


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