昨日からお騒がせのGM遺伝子を便中に検出したというさわぎ。 これは現象的には未消化物の植物組織由来とおもわれるが、これ自体、新たにわかったことではなくべつに驚くことではない。 植物組織断片が便中にでることすらあるわけで、ピーナッツや大豆で経験するが種子そのものがでてくることもある。 そうでなくても、消化途中ではさまざまな程度に分解したDNAが存在するわけで、伝統育種で導入された有害かもしれない遺伝子もちゃんとしらべたらでてくる(問題の論文では大豆の本来持つ有害遺伝子である大豆レクチン遺伝子を対照にしてGM遺伝子と同じように検出しているこれは重要だーGMのほうは安全審査されて安全だが、大豆レクチンは有害である)。 すなわち胃のなかに未消化で検出される現象はGMの専売特許でもなんでもなく、伝統育種だろうと植物に含まれる遺伝子すべてに平等にある話だ。問題はそれが有害かどうかだ。 すると、安全審査されたGMのは問題ないわけで、それをしていない伝統育種由来の有害遺伝子や耐病性遺伝子のほうがはるかに大問題だ。イネなどの多くの農作物の伝統育種で導入された病害耐性遺伝子など、安全性が証明されていない遺伝子の検出を、同様な条件でだれかやるべきではないか。 これらこそ、消費者が真に恐れるべきものである。

ようするにニューカッスル大学の彼らの結論は、(1)GM遺伝子は特別ではなく、大豆の本来の遺伝子も同様に未消化物のなかに検出される (2) GM遺伝子がヒトの腸や胃のなかで形質転換されたという細菌は、細菌検査ではまったく検出できなかったーすなわちいないということだ (3)グリホゼートという除草剤を細菌の生育が落ちるほどビールを飲むみたいに飲んでいると可能性があるという程度のもの。 したがってGM反対派のひとたちは、どうやらモンサントの除草剤グリホゼートをビールのかわりにジョッキで毎日飲んでいるらしい。 

 このレポートでは、大豆遺伝子の未消化物に触れた胃のなかの細菌を除草剤であるグリホゼートを多量に含んだ培地で培養するとグリホゼート耐性菌がわずかに現れるといっているが、これはそのような不自然な培養をしたためショックで形質転換体が生じた可能性がある。 阻害物と細菌を培養するというこのような手法は遺伝子組換え体を得る普通の方法でもあるからだ。

  さて、今回の一件は、経緯をたどるとさらにひどい誤解と意図的フレームアップによる消費者おどしといえる状況が浮かびあがってきた。 当然一連の報道(ロイター、ガーディアン及びデーリーメール)の引き金になったらしいFOE (Friend of Earth)のリリースだが、人間でテストしたのは、除草剤耐性遺伝子であり抗生物質耐性遺伝子ではないのに抗生物質耐性遺伝子で腸内細菌が形質転換されると短絡しているのがまず目につく。

次にFOEリリースは、下部のエディターズ・ノートに注記はあるものの、実験対象の7人は腸の一部を切除した人たちだということ、対照群の健常者12人には何もなかったことを最初に明示していないし、FOEのHPにも現在、このリリースはあがっていない。--i意図的あおりではないかという根拠のひとつ。

http://www.foe.co.uk/pubsinfo/infoteam/pressrel/

又、元ネタであるFSAのレポートは、見出しを「 'Extremely low' risk of GM transfer」(きわめて低いGM移動のリスク)と付けており、

http://www.food.gov.uk/science/sciencetopics/gmfoods/gm_reports 

ニューキャッスル大学のレポートをざっと読んでみても、報道との乖離に悩むばかりだ。


FOEが騒ぎ立てるマーカーによる抗生物質耐性問題は、依然特殊な状態における仮想リスクの範囲。 医療などの現場で使われない抗生物質の耐性菌のこといっても無意味である。実際に使われてこそ、耐性菌が生じ問題をおこす。 

あ、ガーディアンだけしか読んでないらしい日本のサイトも発見

http://www2.neweb.ne.jp/wd/yasuda/gmo/column/020718.htm 

2002-7-19


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