自ら安全であると認可したものを拒否する奇妙な歴史的決定。ーー食品のGM表示をめぐるEU議会の2段階論法

 昨日、EU議会でGM食品に関する追跡表示が可決され、EUは世界に対し、GMの使用認可を再開することを条件に、非GM貿易を実質的に要求。 これは、GM使用はみとめるが、消費者が拒否しているよという2段階の論理を組み合わせて拒否。 結局は、よせてぶん殴るという類であることは明白。 ただし、これはEU委員会での修正の挙句の小差の可決でそのまま実行可能なプランとなるかどうかは依然不透明な部分はあるが、あきらかにEUが新たな挑戦に出たことはたしかだ。 背景には、おさまらない食品事故や家畜疫病などEUでの食料生産の現場の衰退があり、また、いかに外国に多くをゆだねているかを露呈したものであり、それに対してのEU民衆の苛立ちを反映したとみられる。 現在、EUで進行している反グローバリゼーションの一環ともみることができよう。、EUはもはや世界農業生産を語る能力を失っている。 また、カナダ、インド、オーストラリア、ニュージーランド、中国、アフリカ、アルゼンチン、ブラジルの一部などでEUベースの反GM団体のキャンペーンがこれまでにようには必ずしもうまくいかず、GM作物の作付面積の増大がつづいている。 カナダでは国民の70%がGM支持になっていることでもそれがうかがえる。 ニュージーランドでは国民の70%以上がGM解禁や支持をしている結果がでている。 そういった環境を打開し、世界の食糧生産と流通に何らかの指導的役割を維持しようとする政治的意図も読み取れる。 実態とはことなる虚偽(たとえば7月3日の1を参照)を含めた情報操作でEU民衆に対し作られた世論が利用されたと見ていいだろう。

  実際、今回のEUの選択は、最近の研究をみても現実の危険性がまったくないものを規制するもので、安全であると自身が許可したものを消費者の意向なるものによって排除する(危険表示と同じ)。 したがってこのような表示をしてもEU民衆が受ける利益は”気分がスカッとする”以外はない、すなわち、実際の食品の安全性の向上はないといっていいだろう。 GM食品に対して反対派が用いる危険の象徴、フランケンフードとは伝統育種品に対してぴったりの言葉である。 場合によれば、伝統育種の際の有害遺伝子の産物やアフラトキシンや農薬などで逆にリスクが増す局面もあろう。 さらに、世界農業の技術革新の足を引っ張ることは間違いない。EUは世界農業の生産性の向上と実効性のある安全性確保に関して、有効なアイディアをもはや持ち合わせていないからである。 GMの利用はあくまでも選択肢でしかないが、EUの今回の方針は他国の農業生産にまでEUの矛盾に満ちたStandardを強要するものでもあり、今後大きな貿易摩擦に発展することも間違いないだろう。

2002−7−5


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