時代の要請と有機農法のパラドックスーー 

 有機農法に用いる規制されない毒物の農薬としての散布に関して興味ある統計を紹介しよう。 まず、硫黄化合物であるが、現在年間7千8百万ポンド(3百5千万トン)であるが、将来、すべて有機農法に変われば8億4千万ポンドと10倍以上の伸びとなる。 また、硫酸銅などの銅化合物の使用量は1千3百万ポンドであるのが、1億1千6百万ポンドにのぼると計算されている。 さらに、最近、農薬規制のかからない有機農薬を使用する一般農家も増えていることも事実であり、将来、農薬規正法は有名無実になるものと考えられる。 皮肉なことに、時代の要請はこれまで農薬をより特異的に、より分解しやすくすることであったが、ここにいたって、より広範な慢性、急性毒性だけでなく土壌への強い残留、蓄積性をもつこれら有機農薬が突如として台頭してきたのはいったいどういうことなのだろうか。 いったい、われわれは、何をもとめてさまよっているのか。 これら、天然物かそれに近い”不純物”だというだけで安全検査と規制を逃れつづけることが、環境や消費者の食の安全にプラスになることなのだろうか。

  無論、犠牲を少々はらってでも有機農法は食糧生産のひとつの実践としての価値は否定できないだろう。 しかし、ここで、目を地球全体に向けてみよう。 すると、なんと世界の肥沃な可耕地はすでに有効に耕されており、その面積は地球上の土地の37%に達することがわかるのである。 英国などでは国土の70%にも達する。 しかし、地球人口が100億に向かって増大しつづける状況のもとで、より生産性の高い農法をとらなければ、この面積は確実に増大せざるおえないことは容易に想像できるだろう。 にもかかわらず、生産性に恵まれた気候風土での有機農法推進者の見積もりでも20%減、それ以外では40−60%減とみつもられている。 すなわち、農耕に必要な面積が現状の生産量を維持するだけで、すくなくとも地球上の土地の50%にたっすることは、だれにでも簡単にわかる。 さらに人口が倍になれば、100 %・・・となり、地球上のすべての土地が農地となることを意味することになるぐらい小学生でも計算できる。 しかも、現在の農地は農耕に有利なところのすべてを含んでおり、今後、農耕を広げるためには甚大な労力と膨大な量の資材と甚大な自然破壊をともなうことはあきらかである。 したがって、現在の農業生産水準を有機農業で維持しようとすれば、実質的には、地球の土地の200%が必要と考えてもよい。 すなわち、海を埋めるか、火星でも耕さない限り、有機農法そのままでは地球人口を十分に養うことは不可能ということだ。 近代史上では、オランダが、甚大な努力により海底を破壊し農耕地に換えたことは記憶にのこることである。 これが、EUが胸をはっていう、環境保全であり、自然保護だろうか。 オランダは農地をもう一度海底に戻すべきである。 このように、今後の農地の拡大は、間違いなく自然破壊を加速していくことになる。必要なのは、現実を見据えた近い将来への具体的な恐れとそれを合理的に解決しようとする行動である。 すなわち、子孫のために現代のわれわれができることは、この地球上の土地の37%にあたる農地をいかに有効に食料生産につかうか、そしてそのための技術開発をすることである。 それには、想像の世界のイデオロギーは必要ない。 

 

Jun 6 2002


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