RRSの収量に関する研究     by SA    2000−07−3

1. ベンレポート

これは、土壌、環境条件を無視した数字だけの調査で、品種の栽培のされ方を考慮しておらず、農業的にみても単なる統計的意味しかなく品種の収量の問題を、まして分子生物学的レベルで考察できるようなレポートではない。 日本でいえば、陸稲と水稲の収量を比較し陸稲は収量が低いから農業を破壊するおそれがあるというのと似ている。 このレポートでいえることは、異なる場所に植えられた異なる品種の収量はやはり異なりましたというだけのことだ。

2. ネブラスカ大レポート

    この実験はRRSのYield を精査したものであることは確かである。 農業生産的には一応評価できるが、そのメカニズムを議論するためには、実験の組み立ては単純すぎる。 特に、農業品種間のばらつきや変異の問題をクリアーするような実験プランとはなっていないので結論の一部については憶測の域を出ないというより、不適当である(計画した実験からは容易に演繹されない=他の要因のほうが重要)。 遺伝子導入によるYieldの違いと言う結論はちょっと解説が必要であろう。 まず、代謝的にいじればおそらく多少の生育の増減はあるとかんがえるのが通常である. この7%の差を出すためには相当の厳密な栽培試験をする必要があるが、この程度の差はあっておかしくはないだろう。 逆に増加するケースもある。

   しかしながらそういった観念論的推論はさておき、ここで重要なことは収量の要因に関するもっと科学的な基礎的な考察の必要性である。 RRSを育種した段階でその起源品種のどういう集団・個体を用いたかとかそれからかなりの時間がたっているなどがまず重要となる。 農業品種は種子の保持が個体差を含む集団で行われるということをまず考えなくてはならない。 しかも、育種者が異なるため、両者の種の保存方法がことなり次第に収量差を生んだとも考えられる. 大豆は自殖性作物であるが集団内にある程度の多様性をもっている(遺伝子的に完全にユニフォームではない)。 どれか1本をとり、それからの種子をまき、よく育つ個体の種子を取っていくとか、あるいは収量以外の形質で選んでいけば気ががついた時点で収量に差がでて品種的に固定されてしまったということは十分にある(自殖性なため固定が早い)。 当然、栽培条件がことなれば、もとは同じ品種であっても、収量などは微妙に異なる可能性があるのはあたりまえである。 作物は一般的にはクローンで維持するのではなく、集団で維持することを忘れてはならない。 もし、メーカーがRRSを育種した後、収量の高い個体を選抜していれば逆に収量が増えていたかもしれない。 したがって、現時点ではNebraska大学の収量のデータ-は正しいとしてもその原因が遺伝子導入にあったかどうかはわからない。 かりにそうだとすればシキミ酸経路の酵素が遺伝子およびコードされるたんぱく質とともに違うのであるから、それに起因する合成や発現の変化によると考えてもおかしくないだろう。 全く変わらないと考えるほうがおかしいかもしれない。 しかしながら、農業上の品種の維持はかなり重要な問題で、特に今回比較されたような品種維持者が異なるもの同士の比較は経年変化を考慮する必要があり、遺伝子組換えがどうのこうのという難しい理屈を考える前に、7%という差はそれで説明されてしまう可能性のほうが大きいが、この点の考察が十分でないのはきわめて問題であるといわざる終えない。 すなわち、本レポートの結論の一つ”収量差は遺伝子操作によって生じた”という点については、きわめて軽率な議論であり、むしろ、品種維持方法や選択形質の違いと10年近い時間差を考えた場合、この程度の差は遺伝子操作以外の部分の遺伝子におきる普遍的な現象という可能性をまず議論すべきであろう。 本報告のデーターによっても除草剤耐性は完全に維持されているからこの部分の変化はないことに注目すべきである。

  とはいえ、本レポートの最後の結論は農業的にみて正しい。 すなわち、雑草コントロールに重きをおくか、収量に重きをおくかで選択しないさいということは極めて当たり前のことである. グリホゼート散布による差は見られなかったということから、RRSはこの選抜に重きをおいていることがわかる(この性質がもっとも厳密にコントロールされている)。 

  よって、本レポートは異なる品種のダイズがある特定の同じ栽培条件のもとで収量が多少異なったというだけの報告と考えるのが妥当であろう。

   同様のことがすべての育種に言えるだろう。 たとえばササニシキが20%減の収量であるように。 また、スイートコーンでは甘いだけじゃなくて、貯蔵タンパクの遺伝子発現がコントロール品種にくらべて10倍も高い一方で最終的たんぱく質含量が20%以上減となる。 スイートになる原因とたんぱく質含量が減る原因はカップルしているといわれている。    したがって、5%程度の差が実質的同等性(その意味で博タ質的狽ニいうことばがついていることは原典をみれば明らかである。 正確に同じとは書いていないし、植物にそれを求めることは無意味である.  メーカーは、はじめから品種維持などの変動要因を勘案して収量を偏差または範囲として表すべきであろう。 

 

RRS収量と除草剤使用量の考察(遺伝子組換え食品報道検証委員会HP) 

(2000年7月23日)

 

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