伝統育種の安全性


 大豆の皮の色が黄色系統である場合(もともとは黒に近い濃い紫系)、その原因を分子生物学的に調べると、たとえばアントシアンという赤紫色系の色素を合成する経路(フェニールプロパノイド(Phenylpropanoides)の代謝経路)の重要な酵素の遺伝子がちょん切れたり読み枠が狂ったりして安全性の確かめられていない異常なタンパク質を作るためであることがごく最近明らかになった。 このような遺伝形質を交配育種などいわゆる伝統育種で導入しても安全審査もいらず、いいことばかりを並べた”種苗登録”でOKである。 無論登録なしでもかまわない。 ところが、同じ遺伝変異を遺伝子組み換えで導入すれば、こんなことでは絶対に安全審査にとおらないし、消費者の口に入ることも環境に放出されることもない伝統育種で遺伝子異常)。  さらに伝統育種のうち突然変異育種ではもっと恐ろしい変異があるかもしれないにもかかわらず、遺伝子組換えでないから知らん顔である。 遺伝子組換えでないから中身が分からなくても安全という論理である。 このような伝統育種した除草剤耐性(除草剤耐性作物は伝統育種である突然変異育種で多く作り出されていることに注意すべき)の作物の伝統育種遺伝子があちこちに拡散しコンタミし雑草や作物が汚染されているが消費者には知らされていない
  また、トウモロコシやイネのデンプン形成を強力にするため、交配によりデンプン合成系酵素を増強しても安全審査なしで栽培流通し食用される。 ところが、このデンプン合成系に関係する酵素のいくつかは強いアレルゲンである。 伝統育種された早く熟する穀類の場合にそのようなアレルゲンが多量に含まれる場合がある。 このような伝統育種されたトウモロコシやムギや稲などの穀類には、遺伝子組み換えにおけるような系統的な安全審査がない。 これらは現実に広く栽培されて食用にされ、食品アレルギーの一環をなしていることは間違いない(例:Baker's Astoma)。 同様に遺伝子組み換えで、登熟促進や栽培期間の短縮あるいはデンプン含量や収量の増大の目的でこのような遺伝子を同じ種類の植物からであろうと導入強化すれば、安全審査にとおらない。 伝統育種の問題点の告発

  そば粉のアレルギーは強烈で有名だが、長い伝統育種の歴史上、そのアレルゲンを取り除くことはできていない。 アレルゲンの量的表示はおろか依然危険表示なしに売られ、食べた人がアレルギーになれば食べるのが悪いと食べた人が指導される。 そばのメニューにもアレルギーの危険性の表示はない。 さらに、そば粉がいろんな食品に混ぜられているが明確な危険表示はなく、そばアレルギーの方は自衛するしかない。 あるそばアレルギーの友人はこう述べた。 ”もし自分が総理大臣や厚生大臣になったら、即刻そばの栽培と流通を禁止してやる”と憤っていた。

 
  それなのになぜ伝統育種は安全と信じているのか? 伝統育種はずっとやってきたから技術として安全だと考える人は多い。 しかし、これは明らかに間違いである。 いままで明らかに有害物あるいはそう疑われるものを生じる作物が伝統育種でできてしまった例が明らかに存在するから、伝統育種は技術として必ず安全なものを生じるという結論は否定される。 たとえば、唐辛子の類で発ガン性物質ができてしまったとかトウモロコシでアレルギーを起こすと思われるタンパクの増大、菜種での甲状腺や心臓障害誘引物質の多量生成などである。 ほかにもいくつも例がある。 冒頭に述べたように、伝統育種により安全性未研究の異常タンパクを生じたりもするし、伝統育種では、耐病性や多収穫性、食味改良因子など多くの遺伝形質の原因遺伝子の安全性は検証されていないと言っていいだろう。 ニンジンなどにも強力なアレルギー原が含まれますが、スーパーでそのように表示され注意を喚起した表示がされていますか? 草花などの園芸作物では雑草化など環境・生態系への配慮は皆無と言っていいだろう。 さらにこれらの伝統育種された作物が自然種や他の作物と交雑してしまい(クロスポリネーション)、有害化する可能性など一般の方々は考えたこともないのが実情だ。 
  うそだと思う方がいたら、一度、新品種の種苗登録を見られたらいいでしょう。 一切悪いことは書いていない。 いいことばかりだが、それは多くのケースで安全性をチェックした上ではない。 遺伝子組み換えならば、導入遺伝子について疑問があればより詳しいデータ-を要求できるが、伝統育種品では、種屋や種苗会社にその遺伝子の安全性はおろか、遺伝子のもとすら育種家の権利保護と称して明らかにすることを拒否されることもよくある。 疑問におもわれるならためしに伝統育種の遺伝子はどこら持ってきたのか、どのように変化したのか、どのように育種したのか、なぜ性質がよくなったのかとかを、種苗会社や農家にしつこく聞いてみてください。 なぜ、彼らが伝統育種の問題に黙っているか、賢い方ならすぐわかるでしょう。 

  このように冷静に事実をみると、伝統育種だから安全というのは完全に誤りであり、単に信じ込まされているという程度のものだということがわかります。 ”伝統育種”と”安全”という2つの言葉の間に理由、原因あるいは因果関係を表す言葉”だから”をつけて、文法的に作成したに過ぎない、真実とは無縁の表現であることは小学生でも理解できるでしょう。 訪問や電話販売で、商品を売りつける人たちがよく使う表現手法でもあります。 伝統育種においても、やはり安全審査は必要不可欠なのです。

  遺伝子組み換えは法律に表示と安全審査が規定されているからで、伝統育種では規定されてないから表示や審査は不要で当然という人もいます。 でも、これ、食品や環境への安全性を議論する態度でしょうか。 法律や規則は自然にできるものではなく、人間が一定の知識と見識をもって制定するもの。 DDTやBHCはじめダイオキシンやPCBだって始めは法律や規制の対象でなかったでしょう。 安全でなければ、規則、法律を作って規制するのが筋。 それを逆に規則があるからという言い方では、本末転倒でしょう。

GM食品の安全性の総括ー仮想リスクの展覧会の終焉 伝統育種にも遺伝子マーカーを導入し追跡可能にすべし



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