ガン遺伝子と亜鉛タンパク質遺伝子の進化の2人3脚

  ガン細胞で活発に働く遺伝子の一つにcRAF(RAF1)というのがあります。 この遺伝子は、魚類が進化するときに生じたマコーリン2(MAKORIN2)という亜鉛を含むタンパク質をコードする遺伝子と強いかかわりを持ちながら進化してきましたヒト3番染色体3p25領域の進化)。 人間では、この二つの遺伝子は同じ染色体のDNAらせんの相補鎖上に、一部が重なるように位置し、それから転写されて出来たメッセンジャーRNAが、3’UTRの末端102塩基が互いに逆向きになって(いわゆるアンチセンス)互いにコントロールしあっているらしいということが最近明らかにされました。 このコントロールが崩れると肺がんなどになるかもしれないというわけです。 この大変重要で興味ある遺伝子の2人3脚的進化は、我々がよくお刺身や煮付けにして食べるハマチ(学名:ブリ)の脳下垂体ホルモンの研究から見つかった脊椎動物に特徴的なマコーリン2遺伝子のヒトでの発現を調べていてごく最近(2000年4月ごろ)偶然見つかりました。 現在の魚類においては、RAF1はMKRN2とは別の場所にあり、RAF1には、別のアンチセンス遺伝子が存在していますが、4億5千万年ほど昔に魚類が進化したときには、MKRN2とRAF1は人間の遺伝子に見られるような配置であったと考えられています。  マコーリン(Makorin)の語源

原ガン遺伝子とMKRN2 (要旨:f493  T Gray, K Azama, A. Min, M Drumm, S. Abe, and Rob Nicholls.,  

魚類遺伝子からヒトへの進化と原ガン遺伝子との協調進化に関する論文が出版されました。  Genomics77(3)、119-126、2001-→Abstract   MAKORIN2とRAF1のGENE ANTISENSEの詳しい説明図

関連リンク→ヒト3番染色体3p25領域の進化

Phylogenetic Conservation of the Makorin-2 Gene, Encoding a Multiple Zinc-Finger Protein, Antisense to the RAF1 Proto-oncogene
pp. 119-126 (doi:10.1006/geno.2001.6627) 
Todd A. Gray*, * Kishu Azama Kirstin Whitmore* Allie Min* Shunnosuke Abe Robert D. Nicholls*  

*Department of Genetics, Case Western Reserve University, 2109 Adelbert Rd., BRB 739, Cleveland, Ohio, 44106, USA
Laboratory of Molecular Cell Biology, Faculty of Agriculture, Ehime University, 3-Tarumi, Matsuyama, 7908566, Japan
(Received APRIL 4, 2001; accepted JULY 18, 2001; published electronically October 11, 2001)

さらにこの3p25領域の祖先は22番染色体の基本領域を作ったと考えられます

亜鉛フィンガータンパク質と原ガン遺伝子の構造連関

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