昆虫の食の安全

- ”モンシロチョウの幼虫(青虫)ななぜキャベツを食べるのか”と#リンゴを食べるカイコ”

 キャベツ畑にいる昆虫といえば、モンシロチョウが代表的なもの。昔はキャベツの外側の葉にはたいてい青虫がいて、葉に食べた穴があるのが普通でしたが、昨今は農薬の普及でそういう風景はあまりみられなくなりました。 ところで、モンシロチョウの幼虫がキャベツの葉を好んで食べる理由は、キャベツが健康にいいからではないのです。キャベツには、カラシ油系統の菜種毒があり(シニグリンから生成するアリルカラシ油)病虫害から自身を守っています。 この毒素はタバコのニコチン並みの強さがあります。 それで、昆虫を寄せ付けないのです。ところが、モンシロチョウは進化の過程で、この毒素に対抗することができるようになり、他の昆虫が育ちにくいキャベツ畑で我が物顔に繁栄することができたわけです。 似たような例は、キュウリにつくウリハムシ(Cucumber beetle)があります。この虫はキュウリの苦いところを好んでよってきます。 この部分に栄養があって健康にいいなんて考えたら間違いです。 クカビタシンという苦い毒素がありますが、この毒素がこの虫の誘引物質で、この虫はそれに対抗することができ、他の虫をしのいで、キュウリを食べて繁栄することができます。キュウリなどのウリ科は基本的に猛毒をもつ植物で、多くの昆虫が苦手とするのです。 ところが、人類は、強い肝臓と腎臓と知恵による解毒を武器にこれらを食糧化したうえで、農薬というもので昆虫を駆除します。、彼らの誤算は、これらの豊かな食糧資源に目をつけるようになった後発の人類の進化であったわけです。

  ところで、人間の子供はこれら植物の毒素を感知するのか、こういった野菜を嫌うことが多いようです。子供の好き嫌いを見てると、時に、キュウリ、メロン、スイカが嫌いという”ウリ科嫌い”とか、トマトやピーマンが嫌いという”ナス科”嫌いなど、生物学を教えたわけでもないのに、植物の科のレベルでと思われるような好き嫌いを認識する場合があります。ナス科はタバコやジャガイモの芽毒で知られるようにやはり猛毒植物群です。 このような子供の野菜の好き嫌いは、ひょっとすると、植物の科レベルで特有な毒素や化学物質を認識しているのかもしれません。このような野菜の好き嫌いをする子供をつかまえて、”おまえ、青虫みたいやな”とこぼしたくなるのが、人間の親であるわけです。

  また、カイコは普通は桑の葉しか食べませんが、遺伝的にそれが外れ、”野菜”をなんでも好き嫌いなく食べる、人間の親からみれば”大変いい子”になることがあります。 たとえばリンゴも食べます。 ところが、この”優等生”、桑の葉以外を食べさせると毒に当たるか栄養不良で、たいてい死んでしまいます。すなわち、昆虫は、食べても安全な食を遺伝子でコントロールし、食を制限して子孫を残しているのです。その代わり、食の範囲が著しくせまくなるのです。 なんでも食べるよう努力する(させる?)人間とはずいぶんやり方が違いますね。 

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