1.PPAR ファミリーの表記

    Synonyms for PPAR family:

NCBI official Symbol     日本語(ギリシャ文字) ヒト染色体位置
PPARA PPARα, PPAR-α PPAR alpha PPARアルファ(α)  22q13
PPARB PPARβ, PPAR-β PPAR beta PPARベータ   (β)  
PPARD PPARδ, PPAR-δ PPAR delta PPARデルタ (δ) 6p21
PPARG PPARγ, PPAR-γ PPAR gamma PPARガンマ   (γ) 3p25

フルネーム(NCBI Official gene name)

PPARA: peroxisome proliferative activated receptor, alpha   Ppara: Rat, Mouse

PPARB:peroxisome proliferator activated receptor beta [Xenopus laevis] カエル、[Danio rerio] 魚類

PPARD: peroxisome proliferative activated receptor, delta   Ppard: Rat, Mouse

PPARG: peroxisome proliferative activated receptor, gamma  Pparg: Rat Mouse

注:PPARDは場合によってはPPARBと同一視される。 NCBIによると、基本的には、哺乳類以下の脊椎動物では、哺乳類のPPARDに相当する遺伝子(Orthologous gene)はPPARBまたはPPARBETA(G. gallus: ニワトリ)と表記される。ラットやマウスでは、Ppara, Ppard, Ppargなどと表記される。 ラットでは最初はPparbと名づけられたが(Peter et al., 2000; Michalik et al., 2001)、全ゲノム解析が進むにつれ、ヒトのPPARD(6p21、Yoshikawa et al., 1996年)と進化的に相同な染色体領域にあることが明らかとなり、ヒトゲノムとの整合性から正式にはPpardと呼ばれる(NCBI,HomoloGene, OMIM)。鳥類と魚類はPPPARBのままであるが、我々が、これら下等脊椎動物のPPARBはヒトのPPARDと進化的に発生した相同なゲノム領域にあることを証明したのだから(Abe et al., 2004)、その理屈でいくと、これらもPPARDと呼ぶべきかもしれない(あるいは祖先に合わせてヒトのほうをPPARB、下記2)。

2.PPARの進化と系統(PPARファミリーは3p25 syntenyの祖先形成過程で発生したと考えらられる脊椎動物特有の遺伝子ファミリー)-これらの分類は、遺伝子の相同性だけでなく、エキソン/イントロン構造、周辺の遺伝子の並び(Synteny)の進化の分析による祖先遺伝子領域の同定といった我々の行った、精密な系統分析からも支持される。以下の系統樹に示したように、魚類(トラフグ)では、PPARAが2つあるので、合計4個のPPAR遺伝子をもつ。脊椎動物進化の過程でおこったゲノムの4倍化(8倍体化)の際に生じたものが4つとも生き残った可能性があり、PPARAがもっとも古いコピーである。また、魚類とカエルのPPARBと哺乳類のPPARDは進化系統的には、重複で生じた4つの祖先遺伝子座のうちの特定の一つに由来すること(系統的にオルソログであること)が我々の研究で証明された。

  PPARは、多量の脂肪の貯蔵や動態をコントロールすると考えられており私たちの成人病(糖尿病や肥満)は(Kersten et al., 2000)、いまから5億年もまえに運命付けられたといえるわけです。

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Torafugu (Takifugu rubripes), トラフグ; Salmon (Salmo salar), 大西洋サケ(Atlantic salmon): Xenopus : (Xenopus laevis),アフリカツメガエル (African clawed frog); Human, (Homo sapiens), ヒト (human): Mouse (Mus musculus), ハツカネズミ(house mouse)

 ヒトと魚類3種とのゲノム構造上の進化と両遺伝子の中間領域の変遷を以下に図示しました。 この遺伝子領域が魚類の進化で形成されたのち、魚類では、MKRN2はその後の進化で他の染色体に移動したためこの領域からは消滅しています。 また、サケ科とアジ科の祖先が分かれたあと、アジ科のブリでは、PPARGは他の染色体に移動して、この場所では必要がなくなった結果、ごく一部が痕跡として残るのみで、フグへのさらなる進化の過程でその痕跡も完全に消滅しています。  この領域は、ヒトのほうが魚類進化時の形態をよく保存していると考えられる好例といえます。

 


参考文献. Shunnosuke Abe, Shigeki Chiba, Neena Mishra, Yasutaka Minamino, Hiroko Nakasuji Masanori Doi and Todd A. Gray,  Marine Biotechnology, 2004, 6S: 404-412

 

 

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