去年の主要な動き

 


 

 

 

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   **本研究室における最新の研究は, 細胞質マトリックスの最新鋭電子顕微鏡と分子生物学的手法による新しい細胞質構造の解明で、mRNAとポリソームのターゲッティングと細胞機能分化及び新しい細胞骨格フィラメント系タンパク質の同定です。 すでに、エンドウ細胞とトウモロコシ未熟胚乳において、リボソームや膜系と結合する、F−アクチンやMTとは異なる主要なフィラメント系が見つかり、このフィラメントの分子構造や関連する因子の解明を開始しました。

 このような因子や構造の利用により細胞の生産性や機能を高めることも可能となるはずです。細胞生物学分野の応用として魅力のある研究の一つです。研究機器研究室紹介)

             

2  最近発表された研究成果

ついにリボソームサブユニットと細胞骨格フィラメントとの直接結合の様子をハイコントラスト電子顕微鏡を用いて撮影に成功!・・・・・ごく最近行われたUC-Reverside Symposium(1997.1.18)において発表 4nm フィラメント(SMF)とリボソームの結合を示す。他にもMFなどとの結合も観察された(写真左:撮影倍率5万倍)。ーーE Davies, S Abe, BA Larkins, A Clore, R Quatrano, S Weidner 1997. The role of the cytoskeleton in translation, Plant Physiology 1997 in press.

                写真右ー細胞骨格画分中の細胞骨格結合リボソームの強拡大像(撮影倍率10万倍)

暗所で育てたエンドウの上胚軸組織をグルタールデヒドとオスミウム酸で二重固定後、常法に従い樹脂包埋し超薄切片(200nm厚)を二重染色した。 200kVで観察(JEM2010HC,直接倍率50、000x)。直径20nmほどの黒い丸がリボソーム粒子1個に当たる。本視野にあるリボソームはほとんどがポリソームとなっており、SMFネットワークと結合している。

 本視野では左端にある細胞壁の合成を活発に行っていると考えられる。ディクチオソーム(ゴルジ)より生じた小胞が細胞壁の材料や合成酵素を細胞膜と融合することにより運搬していると思われる。一部で細胞膜に直接会合していると見られるポリソームがある。

 植物における細胞骨格結合ポリソーム----Stankovic, E Davies, S Abe, A Clore, JM dannenhoffer, BA Larkins 1997. Cytoskeleton-bound polysomes in Plants. Univ Missouri Annual Symposioum in Plant Physiology and Biochemistry.

 

トウモロコシのタンパク質顆粒はERから形成されることがわかっていますが、1991と1992年の当研究室での研究並びにその後の他の研究者(による研究により、われわれが主張してきたように、MFやMTなどの細胞骨格と結合しながらERより形成されることが明らかとなってきました。また、細胞骨格結合ポリソームあるいは細胞骨格が植物の発生に関わっているということFucusの接合子(a brown algae, 褐藻類)の発生に関するRalph Quatranoらの研究で明らかになってきています。現在、BA Larkins R Quatrano らがわれわれとともに植物の細胞骨格ポリソームや翻訳における細胞骨格の役割についての研究を進めるようになりました。これらの研究結果は、ペプチドのターゲッティングはシグナル配列や局在化シグナルだけを拠り所とした単純拡散ではなく、はるかに精緻な局在のメカニズムが存在することを示しています。従って、今後の研究のターゲットはmRNAやポリソーム輸送や局在因子の検索、タンパク質合成の局在化によるペプチドのターゲッティングや発現の調節の解明に移行していくでしょう。

 現在、我々の共同研究の輪は次第に広がりつつあります。

ー参考文献

ーーE Davies, S Abe, BA Larkins, A Clore, R Quatrano, S Weidner 1997. The role of the cytoskeleton in translation, Plant Physiology 1997 in press.

----Abe S,W You, E Davies 1991. Protein bodies in corn endosperm are enclosed by and emmeshed in F-actin. Protoplasma 165:139-149.

----AM Clore, JM Dannenhoffer, BA Larkins 1996. EF-1a is associated with a cytoskeletal network surrounding protein bodies in maize endosperm cells. Plant Cell 8: 2003-2014.

----Stankovic, E Davies, S Abe, A Clore, JM dannenhoffer, BA Larkins 1997. Cytoskeleton-bound polysomes in Plants. Univ Missouri Annual Symposioum in Plant Physiology and Biochemistry.

----J Fowler, RS Quatrano 1995. Cell polarity and fate determination in brown algal zygotes, In D Kirk ed, Seminars in Developmental Biology, Vol6 Academic Press, Cambridge UK, pp347-358.

 


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