分子細胞生理学研究室ニュース

2007年08月27日 21:38

2003年米国植物生理学会発表2000年1月1日以降(バックナンバー

分子生物学や細胞質構造研究の最先端を担ってみたい方、動物あるいは植物の遺伝子および遺伝子発現に関係した細胞構造関するポストゲノムサイエンス研究に興味のあるかたを求めます。詳しくは大学院情報研究テーマリストを参照して下さい。 学会発表

平成20年度入学大学院修士課程(一般・社会人->abe@mcb.agr.ehime-u.ac.jp(募集関係資料請求、問い合わせ)     


平成19年度

植物Makorinの発現局在の解明

イネ発芽において、Makorin RING zinc finger タンパク質をコードする遺伝子を同定しその発現局在の解明に初めて成功ーイネ種子発芽初期において、根の組織や子葉組織というような重要な器官分化の初期にスポット的に(高い特異性で)一定時間発現し消長することが明らかとなり、植物が育っていくための基礎的器官分化に密接に関連していることが初めて示された。 特に、根の通気組織の形成の開始時や、側根の原基(lateral root primordia)が根の組織内で形成される場所でスポット的発現が開始され、側根が根の表皮を突き破るように成長するまで続くことが示された。

Sequence, expression and tissue localization of a gene encoding a makorin RING zinc finger protein in germinating rice (Oryza sativa L. ssp
 Japonica) seeds.Thangavelu U. Arumugam, Eric Davies, Eugene Hayato Morita, and Shunnosuke Abe

発芽後10日目のイネ芽生えにおけるMKRN遺伝子の発現(MKRNのアンチセンスDNAプローブによるIn situ hybridizationで検出(1,2の矢印)3はコントロール)−1において側根原基((lateral root primordiium)が根の内部組織(Cortex)内に形成され、やがて成長して2のように表皮を突き破って成長する。この間、MKRN遺伝子の強い発現が見られることがわかる。 1にある黒い部分は、イネ根に特徴的な空洞で、通気組織である。 1はDark Fieldのためこの空洞が撮影されている。 MKRNの発現は矢印に示した紫色の部分である。 各図の右下縁の赤色バーは、0.2mmの長さを示すスケールである。

マコーリンなんでも帳(リンクリスト)

抗がん遺伝子Makorin RING zinc finger タンパク質研究の経緯

 

 

平成17年度

6月12日MCCCなどのビオチン化酵素のページを充実 1.構造と表記、2.発現、3.機能、4.生物界における分布、に記述を整理し、また、SBP(ストレプトアビジン結合タンパク質のページも最新の研究成果を加えて更新しました。

5月4日 魚類におけるHMP(SN4TDR.、snd1)の論文がアクセプトになりました。 Shunnosuke Abe, Pi-Lin Wang, Fuminori Takahashi and Eiji Sasaki (2005). Structural analysis of cDNAs coding for 4SNc-Tudor domain protein from fish and their expression in yellowtail organs. Marine Biotechnology 2005 

この論文に関係のある塩基配列エントリー: NM_182865 Danio rerio; AB182274 Takifugu rubripes :AB100270 Seriola quinqueradiata: AB110445 Danio rerio : AB110096 Danio rerio: AB104653 Seriola quinqueradiata; AB098074 Danio rerio. 他に、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)とトラフグ遺伝子のTPA登録があります(未公開)。 GenBank配列(NM_182865)には、我々の配列も引用されています。

4月10日 日本のサケ(Oncorhynchus keta)のSYN2-PPARG-RAF1ゲノム領域、19、971塩基対のGenomic Contig ver1がDDBJに登録公開されました(AB210271)。 また同時に、大西洋のサケ(Salmo salar)の同様な領域の一部の配列も公開になりました(AB210273、AB210274)。

4月1日 以下の論文を掲載するMBT2003のProceedingsの印刷(2004年12月)と配本が遅れていましたががようやく配本されました。

Shunnosuke Abe, Shigeki Chiba, Neena Mishra, Yasutaka Minamino, Hiroko Nakasuji Masanori Doi and Todd A. Gray.  Origin and evolution of the genomic region encoding RAF1, MKRN2, PPARG, and SYN2 in human chromosome 3p25.  Marine Biotechnology, 2004, 6S 404-412

平成16年度

4月30日  平成16年度科学研究費補助金(3年間)内定

 研究課題:多局在性植物細胞骨格結合タンパク質のアイソタイプの成因と分化・成長における役割

    本研究においてはATPなどのヌクレオチド3リン酸やADPなどの2リン酸を加水分解し、それらの1リン酸とする酵素、アピラーゼの種子発芽成長における役割や、4つの単鎖ヌクレオチドに結合するSNcドメインを4つN末側にもつTudorタンパク質(4SNc−Tudor)の局在や機能の解明が行われます。  これら2つの遺伝子の植物における発現ならびに局在や機能の研究では、先端を走っています。 現在、発表準備中の結果は、この分野で決定的な意味をもつものになると確信しています。 一部は今年11月に行われる国際イネ研究会議で発表します (平成16年11月4日(木)〜7日(日) 東京、つくば。

6月2日 魚類からヒト染色体へ。 脊椎動物の遺伝子群の相関的大進化に関する論文がまもなく出版の予定(7月末)

Shunnosuke Abe, Shigeki Chiba, Neena Mishra, Yasutaka Minamino, Hiroko Nakasuji Masanori Doi and Todd A. Gray.  Origin and evolution of the genomic region encoding RAF1, MKRN2, PPARG, and SYN2 in human chromosome 3p25.  Marine Biotechnology, 2004,

  この研究の一環として、ヒトのシナプシン2と同じゲノム構造をもつサケ科の魚類: 大西洋サケ(Atlantic salmon: Salmo salar), 銀サケ(日本のサケ: Chum salmon, Oncorhynchus keta), ニジマス(Rainbow trout: Oncorhynchus mykiss)および遺伝子の最後2つのエキソンを失った短縮形(SYN2B)をもつトラフグ、および遷移形をもつブリにおいてゲノム領域のRAF1−SYN2領域の解析をさらに進展させ、さらにいくつかの新事実が明らかとなってきています。 トラフグのcDNA解析もようやく軌道に乗り、RAF−SYN領域がヒト染色体領域へと組みかわっていくキーとなる遺伝子構造がわかってきています。

 

前年度(平成15年)

7月23日  魚類における遺伝子の構造解析と発現に関する論文が2つアクセプトされました。

1.魚類におけるMCCのタンパクと遺伝子の存在の最初の報告です。

Shunnosuke Abe, Chhoun Chamnan, Kenichi Miyamoto, Yasutaka Minamino, and Makoto Nouda (2003). .Isolation and identification of 3-methylcrotonyl CoA carboxylase cDNAs and pyruvate carboxylase, and their expression in red seabream, Pagrus major organs.  Marine Biotechnology 2003 in press.

2.魚類におけるRAF1、MKRN1およびMKRN2の遺伝子発現の最初の論文です。

Chhoun Chamnan,Shunnosuke Abe*, Masanobu Doi, Shigeki Chiba and Todd A. Gray (2003).   The genomic organization of MKRN1, and expression profiles of MKRN1, MKRN2, and RAF1 in yellowtail fish (Seriola quinqueradiata).   Journal of Egyptian-German Society of Zoology 2003 in press.

 

4月28日 大型の切花で知られるデルフィニウムの花の落下防止のための基礎研究として、取り組んできた研究の第一作がこのほどアクセプトされ9月に出版の予定です。 将来、遺伝子組換えや突然変異育種による散りにくい花の新品種作出に貢献するものです。 花の落下と内在性エチレン(花弁自身が発するエチレン)およびそのレセプターの関与を結びつけた最初の論文です。

S. Kuroda, M. Hakata, Y. Hirose, S. Abe  2003. Ethylene production and enhanced transcription of an ethylene receptor gene, ERS1, in Delphinium during abscission of florets  Plant Physiology and Biochemistry, Volume 41, Issue 9 (2003 September), in press.

4 月8日 次の論文のWEB版が公開になりました。 Kishu Azama, Shunnosuke Abe, Hideki Sugimoto,  Eric Davies. Lysine-containing proteins in maize endosperm: a major contribution from cytoskeleton-associated carbohydrate metabolizing enzymes. PLANTA (2003) 216 in press. http://link.springer.de/link/service/journals/00425/contents/tfirst.htm

3月23日 次の論文が出版になりました。 Shunnosuke Abe, Kishu Azama, Hideki Sugimotb, Eric Davies. Protein accumulation in the maize endosperm: Role of polyribosomes and the cytoskeleton. Plant Physiology and Biochemistry, Volume 41, Issue 2, Pages 97-192

3月5日 次の論文がアクセプトになりました。 Mahmoud F.M. Moustafa*, Motohito Yoneda, Shunnosuke Abe, Eric Davies. Changes in isotypes and enzyme activity of apyrase during germination of dark-grown pea (Pisum sativum L. var. Alaska) seedlings. Physiol. Plant 2003, in press.

(http://jxb.oupjournals.org/current.shtml  ) 

ひとつのペプチドに4つのSNcドメインを持つTudorタンパク質の分離精製と遺伝子構造の解析を行った論文が出版されました。このタンパク質は動植物に広く存在し、われわれは、このタンパクをエンドウの細胞骨格より大量に分離精製しペプチドマッピングとcDNAクローニングにより全構造を明らかにしました。Summary

Shunnosuke Abe, Masako Sakai, Kosaku Yagi, Takehiko Hagino, Katsumasa Ochi, Koichi Shibata, Eric Davies.  A Tudor protein with multiple SNc domains from pea seedlings: cellular localization, partial characterization, sequence analysis and phylogenetic relationships. Journal of Experimental Botany, 2003 March, 54(384) 971-983

 (AB055904 AB078603)


トウモロコシの貯蔵タンパク質にLegumin-1(11Sグロブリン)が蓄積していること、ならびに他のマメ科などに見られるようなサブユニットへの切断がおこらず50kDaのタンパク質として胚乳に貯蔵されるという分子生物学的およびタンパク質化学的証拠を、初めて示した論文がAcceptされ来年の5月に出版予定となりました。 この事実は、トウモロコシの貯蔵タンパク質顆粒と細胞骨格の結合を調べていて、偶然Small Protein Body Fraction中に見つかったもので、近縁の7Sグロブリン遺伝子/分子の進化の解明に一役買うものと評価されています。 Summary

Tomomi Yamagata, Hisanao Kato, Satoshi Kuroda, Shunnosuke Abe,, and Eric Davies Uncleaved legumin in developing maize endosperm: Identification, accumulation and sub-cellular localization. Journal of Experimental Botany, 2003, March, 54(384) i913-922

平成15年度入学大学院修士課程の募集開始: 平成14年8月26日(月)ー9月2日(月)出願受付 9月26(木)−27日(金) 入学試験 10月11日(金) 入学試験合格者発表 詳細ーー>大学院HP

9月16日 当研究室で解析したマウスの全長ガン遺伝子 Raf1の配列(完全長CDS)がGenBank Sourceに(6番 52.5cM)記載

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/guide/mouse/

8月30日 Apyrasの発芽における役割を示す論文(国際学会議事録)が出版になりました。 これによりエンドウの49kDa Apyraseは発芽後間もない分化成長の特定段階、すなわち発芽時には存在しないが茎と葉が分化する発芽後10−16時間に誘導開始される典型的な誘導酵素であることが明らかになり、成長や分化に役割を果たしていることが初めて示されました。Expression of apyrase protein and its isotypes in early stage of dark-grown seedlings of pea (Pisum sativum L. var. Alaska).  Mahmoud F.M. Moustafa, M. Yoneda, S Abe, M. Shiraishi.   Proc 2nd Int. Conf. Biol Sci  (ICBS), Fac. Sci. Tanta  Univ, 27-28 April 2002, vol. 2: 109-119.

8月23日  8月2−6に開催された米国植物生物学会(Denver Colorad)で発表したPosterのサマリーをアップしました。

1. 247   Proteomics of the plant cytoskeleton: Isolation and identification of a Tudor protein with multiple SNc domains.

2. 248   Proteomics of the plant cytoskeleton: Purification and characterization of the major isotypes of apyrase from the cytoskeleton fraction in pea (Pisum sativum L. var. Alaska)

本研究室HPのなかで生物の学名と慣用名の検索ページが http://molcellbiology.jp/spec_key/start/start.htm   国立国会図書館データベース・ナビゲーション・サービスにリンクすることになりました。

植物におけるApyraseの多局在性についての結論と役割研究の展望に関する論文が出版になりました。

Shibata, S. Abe, M. Yoneda, E. Davies The sub-cellular distribution and isotypes of a 49-kDa apyrase from Pisum sativum  Plant Pysiology and Biochemistry, 40 (5):407-415, May 2002. http://www.elsevier.com/gej-ng/10/36/68/61/56/show/toc.htt 

このApyraseは、エンドウ芽生えでは、全たんぱく質の2−5%を占める主要たんぱく質のひとつです。 この酵素はジャガイモの膜画分に見つかって以来、核や細胞壁、細胞骨格などにみつかり、その局在性と機能について問題になっていました。 本論文はその多局在に関する総括ならびに細胞骨格における局在を明らかにし、細胞壁、細胞核、細胞骨格の画分における酵素活性の違いを明らかにし、さらに2次元電気泳動による等電点アイソタイプの存在とその比率を明らかにしました。 

4月12日 平成14年度の研究室スタートメンバーが決定: 学部4回生 2;;修士1、4;修士2、2; 博士1、2; 博士2、3; 博士3、1。

3 月28日 本日、岡山市で開かれている植物生理学会で本研究室での研究発表がおこなわれる。柴田幸一、米田基人、阿部俊之助、MahmoudEric Daviesアラスカエンドウ (Pisum sativum L. var. Alaska) apyraseのアイソタイプと遺伝子構造について日本植物生理学会(岡山市、2002328-30要旨 (English)  その他今年度前半の学会発表予定

3月6日  今年度(3月)の学生の出入:

  1. 卒業、修了生: 学部 3名、 修士8名、研究生2名、博士1名の合計14名です(うち修士2名と研究生2名は社会人)。  このうち、学部1名、研究生1名、および修士2名がそれぞれ修士課程(3名)と博士課程(2名)に進学。
  2. 今年度の大学院の本研究室合格者数は、修士4名、博士2名です(うち修士2名、博士1名は社会人)。 そのほか学部専攻生は2名。

今年度前半の学会発表予定

柴田幸一、米田基人、阿部俊之助、MahmoudEric Daviesアラスカエンドウ (Pisum sativum L. var. Alaska) apyraseのアイソタイプと遺伝子構造について日本植物生理学会(岡山市、2002328-30

Abe S, Moustafa  MFM, Yoneda M, Shibata K, Davies E.  Proteomics of the plant cytoskeleton: Purification and characterization of the major isotypes of apyrase from the cytoskeleton fraction in pea (Pisum sativum L. var. Alaska)Annual meetings of American Society of Plant Biologists, August 3 - 7, 2002, Adams Mark Hotel, Denver, Colorado

Shunnouske Abe,  Motohito Yoneda, Moustafa Mahmoud, Koichi Shibata, Eric Davies.  Proteomics of the plant cytoskeleton: Purification and characterization of the major isotypes of apyrase from the cytoskeleton fraction in pea (Pisum sativum L. var. Alaska)  Annual meetings of American Society of Plant Biologists, August 3 - 7, 2002, Adams Mark Hotel, Denver, Colorado

Shunnosuke Abe, Sakai Masako, Kosaku Yagi, Takehiko Hagino, Katsumasa Ochi, Eric Davies, Proteomics of the plant cytoskeleton: Isolation and identification of a Tudor protein with multiple SNc domains. Annual meetings of American Society of Plant Biologists, August 3 - 7, 2002, Adams Mark Hotel, Denver, Colorado

Mahmoud F.M. Moustafa, Motohito Yoneda, Shunnosuke Abe, Masaya Shiraishi,  Expression of apyrase and its isotypes in early stages of germination of pea (Pisum sativum) seeds.
Annual meetings of American Society of Plant Biologists, August 3 - 7, 2002, Adams Mark Hotel, Denver, Colorado

Mahmoud F.M. Moustafa, Motohito Yoneda, Shunnosuke Abe1, Masaya Shiraishi,   Expression of apyrase protein and its isotypes in early stage of dark-grown pea (Pisum sativum L. var. Alaska) seedlings. The second International Congress of Biological Sciences  27-28 April,2002, Faculty of Science ,Tanta University, Tanta, Egypt

 

昨年11月に投稿した論文がアクセプトになりました。

K. Shibata, S. Abe, M. Yoneda, E. Davies The sub-cellular distribution and isotypes of a 49-kDa apyrase from Pisum sativum  Plant Pysiology and Biochemistry, 40 (5), May 2002.

エンドウ芽生えの主要タンパク質である(全タンパク質の5%程度)、49kDa Apyraseの細胞内分布に決着をつけたとともにリン酸化により生じたと考えられる5つのアイソタイプを同定し、また精製核を含む細胞下画分でのApyraseの活性や阻害剤の効果など生化学的な性質をあきらかにしました。 この局在については10年来の論争になっていました。 また、免疫電子顕微鏡法により、細胞内での多局在性を実証しただけでなくこのタンパク質がリボソーム上や周辺にも存在し、また繊維状構造体としても存在することを示しました。

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その他の論文の執筆状況:  現在のところ投稿直前のものが1報のほか今月内に投稿予定が2報で、4月までに投稿を目指すものが少なくとも2報あります。 

去年の最後の論文、2001年の第5報目にあたります。

Stanislav Weidner, Ewa Fraquczek, Rystard Amarowicz, Shunnosuke Abe.   Alterations in phenolic acids content in developing rye grains in normal environment and during enforced dehydration,  Acta Physiologiae Plantarum 23(4)2001:475-482

Makorin1と2、YGHL1, RAF1(ガン遺伝子)、およびその他4個の魚類などの脊椎動物遺伝子の解析や発現、タンパク質レベルの分析などが進展しています。

 

8-7 アドレス変更:AT5239.agr.ehime-u.ac.jp/***にリンクまたはアクセスしている方は"molcellbiology.jp/***"に変更してくださ。 ハッカー対策のためコンピューター名、AT5239が廃止されmolcellbiology.jpに一本化されるためです。

10月29日ーフグ(硬骨魚類)のゲノムプロジェクトが終了しデーター公開http://fugu.hgmp.mrc.ac.uk/blast/blast.html

12-3 MAKORIN2とガン原遺伝子、RAF1とのGENE ANTISENSEの説明図をつくりました。

10-17  魚類遺伝子からヒトへの進化と原ガン遺伝子との協調進化に関する論文が出版されました。  Genomics77(3)、119-126、2001-→Abstract

Phylogenetic Conservation of the Makorin-2 Gene, Encoding a Multiple Zinc-Finger Protein, Antisense to the RAF1 Proto-oncogene


Todd A. Gray, Kishu Azama, Kirstin Whitmore, Allie Min, Shunnosuke Abe, Robert D. Nicholls 

7-4    当研究室と共同研究者が世界にある他の3つの欧米の研究グループ (われわれより約半年遅れたアクセプト)を出し抜いて遺伝子の構造を明らかにしたヒトMCC(2000年7月、Genomicsにアクセプト)に関する遺伝子欠損症は、これまで世界でもまれな病気と思われていましたが、他の2グループのごく最近のTandem Massを用いた大衆スクリーニングによる研究により、有機酸尿症のカテゴリー(organic aciduria)のなかでは、一転して、少なくとも欧米で5万人に1人以上の最多の欠損症があることが明らかに。 中間タイプが存在する遺伝病であり、また、組織ごとの遺伝子発現の強さや患者が受けるストレスにも依存するためフェノタイプの把握が難しい面もありそうです。 ポストゲノム時代が喧伝される中、日本では依然この病気が1型と2型に分かれる事すら知られていないなどをはじめ、この病気のフェノタイプの研究は立ち遅れているというより殆ど行われていないといったほうがいい状況です。 数例しかないといわれていたこの遺伝子欠損症を厚労省はじめ関係機関は一刻も早く調査把握し医療機関に情報提供をするべきでしょう。 神経症状から突然死など幅広い症状にかかわっているとされており、潜在患者の多い極めて要注意の病気であるとされるようになりました(Matthias et al 2001: J. Clinic. Invest. 107(4)495-504; Gallardo et al, 2001, Am.J.Hum. Genet. 68:334-346)。 普段は平気でも、強いストレスなどを受けたとき発病したり、あるいは成人までに発病することもあり、幼児期におけるスクリーニングと把握が重要であろうと思われます。 また、この遺伝子中には、健康人でもエキソン上にコード変異を引き起こす一つのSNPがあるなど多数のSNPが存在し、遺伝学的把握は容易であると思われます。

  この研究を通して思うことは、研究が開始された当初では症例が少ないということで価値低しと判断していいのだろうかということです。 もともと植物の細胞骨格の研究という以前はあまり注目されなかった研究の過程でヒトでのこの遺伝子の存在に気づき、6年ほど前に医学部の先生と共同研究を組んだわけです。 しかし、この研究は”手弁当”で(科学研究費等申請してももらえなかった)、大学改革のなかで税金の無駄遣いと悪評の高い”校費”でやってきた結果、この遺伝子のヒトでの解析では世界のトップになったわけですが、ほかに久留米、慶応、島根各大学と協力して症例を集めるというパブリックな作業に極めて苦労しました。 また、この研究の主導大学は、週間朝日に出た30位にもならない切り捨て地方大学?愛媛大学(33位))の医ー農連合軍(といっても教官2−3名と学生数名)だったわけです。 その一方で欧米での政府/民衆支援のおそらくあわせて100人規模の研究グループと精力的な大衆スクリーニング(たとえば新生児などの尿や血液の成分のランダムスクリーニング)による豊富なパブリックデータ-の解析で遂行された上、パブリックデーターの解析が進むにつれて希少な病気どころか、同じカテゴリーでは最多の病気ということまでわかって来たわけです。 日本では、この病気/欠損症についてはいまだ”霧”の中の状態です。 

 このように日本での基礎研究評価と支援に対するスタンスと特に最近の政策は極めて矛盾しているように感じられます。 わからないから少ないのか本当に少ないのかという問題もさることながら、やはり、日本の行政はあくまでも前例があっての、しかも欧米からの導入行政だということを再確信したわけです。 欧米のグループが行ったスクリーニング手法は、”有効なことがわかった”から日本でもやがて導入されるでしょう。 しかしこのような前例主義と結果導入主義は、オリジナリティと研究のリーダーシップの放棄と同じではなかろうか。そして、社会・組織の責任と個人の責任の分担を明確化しないまま、”役に立つことをやれ、リストラだ!”という大合唱のもと、あらたな員数議論(マクロな数字と均一的”単価”のみですべてを規定しようとするやり方)”と”欧米の仕組みのつまみ食い”を引き起こし、わからない段階”での基礎研究切り捨て(役に立たないとして?すぐにお金にならない?)が今後さらに進行するのではないかと危惧されるわけです。 これで日本のポストゲノム時代は万全といえるでしょうか(日経バイテクのポール参照)。 この基礎の有用性と無用性のジレンマに真剣に取り組むことが重要であり、それには学会や政治、大衆の理解の果たす役割も重要な要素であるはずです。 ちなみに、学会や省庁による研究申請の審査やプロジェクトのやり方をそのままにし(これにはどうして欧米のやり方をそのまま真似ないのか不思議だが)、今の社会的認識のもとで国立大学がすでに法人化されておれば、このMCCの研究は、日本では行われていなかったことは間違いないでしょう。 日本の生命科学の立ち遅れの原因は、世間で言われるような大学の責任もさることながら、権威に依存する一方で身近な成果や固有のものの迅速な評価を避け、個人に責任を帰する日本文化のもつ本質(あるいは”奥ゆかしさ”?)にあるのかもしれません。 もっとも不足しているものは、研究費でも末端研究者の資質でもない、基礎から浮かび上がるオリジナリティと発展性を敏感に感じ取りプロジェクト化を速やかに支援する感覚であるといえるでしょう。

 いずれにしても、重要なことがはじめっからわかっているもの、みんなが知っているもの(したがっておのずと引用度は高くなる)は世界中でみんながやっているだろうからオリジナリティを出すのは難しいし、誰かがやってくれるから、必ずしもみんなが手を出す必要はないともいえる(このような当初からの関心が世間でも高い研究は、中央の大学向き?)。 このように考えて見るといわゆる”シンデレラ”的要素を持つ研究は本来地方大学にぴったりなのかもしれない。 少なくとも、ヒトMCCの遺伝子解析で植物研究の成果を利用して、欧米のグループを追い越すことができたということは、本研究室の設立の趣旨のひとつでHPの冒頭にもある、”これまでの生物学に飽き足らないアプローチ”を実践し、完全ではなかったにせよ、その成果を証明したものと、ささやかながら思うのであります。../library/ourpub/papers/MCC-deficiency.htm

6-30   魚類遺伝子の研究からヒト遺伝子とガン原遺伝子との相互作用の研究に発展していた研究の論文がGenomicsにアクセプトされました。 (内容の概略については去年のアメリカ人類遺伝学会発表要旨参照)  T Gray, K Azama, A. Min, M Drumm, S. Abe, and R Nicholls.,    Phylogenetic conservation of the MAKORIN2 gene, encoding a multiple zinc-finger-protein, antisense to the c-RAF proto-oncogene  Genomics, in press (2001).

 

5-24   報告が遅れてしまいましたが、高校生物学参考書のインターネット学習欄に当研究室HP (http://molcellbiology.jp/bunnshi/) が取り上げられています(第一学習社、新編生物図解、総合図説生物の2冊(2001年版)。images/hs-text1.jpg

5-9   植物遺伝子の研究から派生した、ヒト遺伝子に関する研究が出版されました(ゲノミクス72(2)3月。  Human Biotin-Containing Subunit of 3-Methylcrotonyl-CoA Carboxylase Gene (MCCA): cDNA Sequence, Genomic Organization, Localization to Chromosomal Band 3q27, and Expression Obata,K., Fukuda,T., Morishita,R., Abe,S., Asakawa,S., Yamaguchi,S., Yoshino,M., Ihara,K., Murayama,K., Shigemoto,K., Shimizu,N. and Kondo,I. Genomics 72, 145-152 (2001)

http://www.idealibrary.com/links/doi/10.1006/geno.2000.6366 ーAbstract  遺伝子

4−22 1. 研究室メンバーリストを更新しました

      2. 本ウエブサーバーの再修理を今月中に行う予定です。 一時接続困難な状況が生じるかも知れません。

4−18  本ウェブのサーバーが著しい不調に陥り、セキュリティ等の設定がかく乱されたため修復作業を続けております。 ここ1週間ほど、不通になったり、検索が走らなかったり、認証画面がでたりの不安定な状態が続きご迷惑をおかけしていることをお詫びします。 17日深夜から18日午前中にかけては、OSのインストール自体が不能になりサーバーは完全に停止しました。 オンボードLAN−ドライバーのマザーボード側のインターフェースの不調に第一原因があることが本日明らかになり、バックアップLANカードでOSを再インストールし設定を改めて全部やりなおし現在は正常に動いています。 明日午後には、マザーボード交換と再セットアップのため13:30頃から2-3時間程度、再度停止する予定です。 

4月9日: 報告が遅れてしまいましたが、日本育種学会での当研究室の組換え育種に関する研究発表の要旨を掲載します。→こちらへ

4月3日: 本研究室の本年度のスターティングメンバー(学生)は博士課程5名(うち外国人2名、社会人1名)、修士10名(うち外国人1名、社会人2名)、卒論3名の計18名です。

4月2日: 日本育種学会で、当研究室と愛媛県農業試験場が共同で行っているデルフィニウム(花)の落花防止に関する分子育種学的研究の途中経過を発表。 デルフィニウムの花の落花に関係する受容体の構造を解明。

3月24日: 博士1名、修士6名(うち、社会人2名、外国人1名)学士2名の計9名がが修了ないし卒業しました。 

2月7日:動的細胞構造科学"CYTOMICS"の提唱の論文が、このほど出版されました (Plant Science (160)2, Jan 5: 185-198)。

Davies E, Stankovic B, Azama K, Shibata K, Abe S  Novel components of   the plant cytoskeleton: A beginning to plant cytomics  Plant Science. Invited Review. Plant Science (160)2 (2001) pp. 185-196    Web-Edition at Elesevier Scientific

 

1月1日: あけましておめでとうございます。 本年もどうぞよろしく。

1.表紙ページへの年間アクセスは30923回を数えました(2000年12月31日で56137回)。 今年のスタートカウントは56138です。

2.本HPの表紙ページをフレーム化して下端にいくつかの重要なリンクを常時表示し、迷ったらいつでも戻れるように改良しました。 リンクしたさきのページからもどったときにフレームが重なるときはフッターバーの左端の”ホーム”をクリックしてください。 

3. 本HPの英語バージョンの実験手法のページの内容が世界的学術情報機関であるBIOSISの運営する、生命科学の最新の研究手法のデータ―ベースであるMethodFinder ver2.0に収録されることになりました。 

4. 大学院二次募集は1月10日から開始ー当研究室においては若干名募集

 


シロイヌナズナの全ゲノム解析が完了し植物科学の発展に大きな期待

植物のアクチン細胞骨格の動的機能についての専門書(当研究室のメンバーも含む)が出版:Actin: A Dynamic Framework for Multiple Plant Cell Functions Chapter 8: Actin in Protein Synthesis and Protein Body  Formation ISBN 0-7923-6412-0

きたる10月3−7に開かれる米国ヒト遺伝学会年会で発表の2題の要旨がASHGのHPで公開

MCC-Biotin carrier subunit (要旨:f1440

ガン抑制遺伝子ーMKRN2 (要旨:f493

]当研究室と医学部の共同研究になる論文の出版が決定: Obatake K, Fukuda T, Morishita R, Abe S,   Asakawa S, Ymaguchi S, Yoshino M, Ihara K, Muryama K, Shigemoto K Shimizu N, and Kondo I.  Human biotin-containing subunit of 3-methylcrotonyl-CoA carboxylase gene (MCCA): cDNA sequence, genomic organization, localization to chromosomal band 3q27, and expression.  Genomics, 2000 in press. -9月1日、2000

  このMCCーAはSBPの一つで各種生物に特徴的な分布をしています

新しい研究領域”CYTOMICS"の創設に関するReviewがPlant Scienceで受理され、掲載の運びに。Davies E, Stankovic B, Azama K, Shibata K, Abe S  Novel components of   the plant cytoskeleton: A beginning to plant cytomics  Plant Science. Invited Review, Accepted (2000). 2000-8-19

もう一つのヒト遺伝子プロジェクトの成果をフィラデルフィアで開催されるAmerican Society of Human Molecular Gneticsの年会で発表予定。 2000−8−19

科学者2700名の遺伝子組換えに関する声明が発表されましたー>科学者2700名の声明 2000−7−17

当研究室最大のプロジェクトの一つである新規のヒト遺伝子の構造と調節に関する進化の研究が今年10月、フィラデルフィアで開催されるAmerican Society of Human Molecular Gneticsの年会で発表の運びに。    2000−6−28

研究室の平成12年度スターティングメンバーが決定しました。 新入生は学部2名、修士9名、博士1名、研究生2名で総勢23名です→分子細胞生物学研究室メンバー

タンパク質合成と貯蔵タンパク質の蓄積における細胞骨格の役割についてのトッピックを解説するわれわれの執筆した章がまもなく出版されます。Bratislav Stankovic, Amy Clore, Shunnosuke Abe, Brian Larkins & Eric Davies: Actin in protein synthesis and protein body formation.

本研究室が共同で遂行しているヒトゲノムの構造と機能解析が急速に進展し、そのうち脊椎動物が4億年前に進化するに伴い生じた遺伝子の起源と系統の研究が執筆段階に入りました。 内容的には大変重要で新たな病気との関連が明らかになる可能性があり興味深いものですが執筆中のため公開できないのが残念です。  また、細胞骨格結合性のオルガネラターゲティングタンパク質の2個のサブユニットのうちひとつについてヒト染色体上の位置や遺伝を含めた一連の解析がおわりやはり論文執筆が進行中です。 もうひとつのサブユニットについても解析の最終段階を迎えました。新しい病気関連の遺伝子として今後の研究が待たれます。 これについても同様で内容を公開できないのが残念です

植物ゲノム関係でも遺伝子構造とmRNAに関する論文が投稿段階、さらに次の重要なステップへと進んでいます。 これらは今年から来年にかけて出版されると期待されます。 今後、植物グループもポストゲノムサイエンスに焦点を当て、細胞質の立体構造の動的分子構築すなわち、Cytomics(Cytologie+dynamics)の研究を強化していきます(投稿中のReview Ariticle)。

 

ローランド・エメリッヒ監督、サイエンスSF映画”13F"が封切られています。13Fの様々な生命体のコンピューター上での描写があります。この紹介HPに当研究室へのリンクが使われていますー>続々と誕生する新しい生命体のバーチャルリアリティの織り成すSFの世界!

遺伝子組み換え生物の評価のページに内容を整理し目次をつけ、よりわかりやすくしました。

遺伝子組換え食品は健康食品であることが次第に明らかに

細胞骨格画分のたんぱく質を短時間に効率的に分離できるHeparin Affinity Columnを用いた新しい方法とそれによって分離された細胞骨格結合Apyraseの論文がPlant Physiology and Biochemictry に掲載されました。これまでの分離精製法に比べると収量も大幅にアップしました。 抄録は次のアドレスでご覧になれます=>http://www.elsevier.fr/gb/html/sommaires.cfm?code=PT  20000121


1999年4月以降ー1999年12月31日

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