“エコバイオティクス“とは?

ecobiotics

 

― 定義とその例 ―

 

近年、プロバイオティクスという言葉をよく耳にします。

プロバイオティクスの定義に関しては、

1.フラーは、プロバイオティクスを宿主の腸内フローラの構成を制御することにより宿主に有効な機能を有する生きた微生物と定義し、生きた微生物の働きを強調しています。さらにプロバイオティクスが腸内フローラのみならず、他の部位の常在フローラにも影響を与えるとしています。Fuller, R.B.:Probiotics in man and animals. J. Appl. Bacteriol., 66:365-378 (1989)

2.ハーベンナールとヒュイスインベルは、宿主の常在フローラのバランスの改善によって、有益な作用をもたらすものと定義しています。Harvenaar R.and Huisint Veld, J.H.J:   Probiotics,A general review, p.151-170, In The Lactic Acid Bacteria in Health and Disease,Wood,.J.B.(eds), Elservier, London(1992).

すなわち、プロバイオティクスは「腸内フローラの改善」を目的としたものであることが分かります。

一方、農業、水産養殖分野においては、微生物の寄生、共生関係などを利用した防除・防疫技術が実用化されています。

これらはこれまで有機農業とか有機養殖という言葉で表現されてきましたが、もともとは、化成肥料一辺倒の農業の弊害に対する対策として堆肥の効果が見直されたことに始まるものです。すなわち、堆肥という有機物を施用するから有機農業と呼び始めたものが、生態系をも意味するイメージから現在まで使用されているように思われます。

現在、農業、水産養殖分野で利用されている微生物については、その効果のメカニズムが分かってきているものもあり、また最近のメタゲノム解析等の進歩で環境中の微生物叢の解析にも大きな進展が期待される状況になってきています。

このような環境微生物を取り巻く変化を考えますと、これまでの「有機」という言葉は概念が不明確な印象を否めません。それを反映してか、最近、プロバイオティクスを環境分野まで広げて解釈する傾向も現れています。しかし、プロバイオティクスは「腸内フローラの改善」を目的としたものですので、環境浄化まで拡大するには無理があると考えております。そこで、今回我々は、有機農業、有機養殖、環境浄化等を包括する概念として、「エコバイオティクス」を提案いたします。

 本講演では、「エコバイオティクス」の定義とエコバイオティクスの概念をご理解いただくための具体例として、弊社で開発し実用化いたしました「デロビブリオを用いたクルマエビのビブリオ病の防疫」についてご紹介させていただきます。

 多彩なご意見をいただければ幸いです。

 

 

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